YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

なでしこジャパン 五輪へ向けて準備着々 ただ、その道のりは…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

昨日は、女子サッカー日本代表なでしこジャパン東京オリンピックへ向けての強化試合が行われました。対戦相手は、オーストラリア代表です。アジア予選を圧倒的な強さで勝ち抜き、世界ランクも9位で、現在世界ランク10位の日本より格上と言える強豪です。

まずは、簡単に試合を振り返ります。

日本の先発は、

GK山下、DF清水、熊谷、南、宮川、MF塩越、三浦、中島、長谷川、FW岩淵、菅沢

の11名です。

試合は、立ち上がりからお互いに攻め手を欠き、0-0で前半を終了しました。ハーフタイムに、オーストラリア代表は6名のメンバーを入れ替えて後半に臨みます。日本のメンバーチェンジはなしです。

そして、後半8分。右サイドから左のDF宮川へサイドチェンジのボールが渡り、そのボールを宮川がMF長谷川へ浮き球でパス。長谷川が蹴ったクロスが相手DFの手に当たり、PKを得ました。これをFW岩淵が冷静に決めて、先制点を奪いました。

その後、日本も最終的には6人のメンバーを入れ替えて、ゲームの主導権を握りはしたものの追加点は奪えず、そのまま試合は終了。1-0で日本が勝利しました。

この試合を観て、また、今の「なでしこジャパン」の現状を鑑みて、東京オリンピックへの私の見通しをお話しします。

結論から言うと

「メダルへの道のりは、『いばらの道』」

です。

理由は、二つあります。

一つ目は、1次リーグの組み合わせの厳しさです。

初戦の相手は、カナダ。カナダは、フィジカルに優れたチームであり、世界ランクも8位と日本より格上です。次の対戦相手は、イギリスです。イギリスは、日頃のサッカーの世界では、「イングランド」、「スコットランド」、「ウェールズ」、「北アイルランド」の4つの地域の代表チームに分かれて活動しているのですが、オリンピックに限り「イギリス代表」という形で出場します。つまり、この4チームの最強メンバーが集まる「選抜チーム」というわけです。そのうちの1チームである「イングランド」の世界ランクが6位ですので、これまた格上のチームとの対戦となります。そして、最終戦の相手はチリ。世界ランクでは37位と日本より下ではありますが、南米予選を勝ち抜いた強豪です。

まずは、「死の組」とも言われるこの1次リーグを勝ち抜かなければなりません。そのためには、是が非でも初戦のカナダ戦に勝利すること。引き分け以下の結果だと1次リーグ突破に、黄色信号が灯ることになります。

次の理由は、現在の「なでしこジャパンのメンバー構成」です。

皆さんもご存じの通り、「なでしこジャパン」は、2011年ワールドカップでキャプテン澤穂希を中心とした抜群のチームワークと持ち前のテクニックを活かしたパスワークを武器に見事な優勝を果たしました。続く、2012年のロンドン五輪でも、ほぼ同様の布陣で臨み、決勝戦で「絶対王者アメリカ」に敗れはしたものの、見事に銀メダルを獲得し、日本中のサッカーファンを感動させてくれました。

しかし、その後、世代交代がうまく行かず、リオデジャネイロ五輪は、アジア予選で敗退。本大会への出場を逃しています。

そういうわけで、今大会に臨むチームで過去の五輪を経験しているのは、主将の熊谷とエースナンバー10番を背負う岩淵の二人だけです。さらに、海外のトップリーグに所属しているのも、この二人にMF長谷川を加えた三人だけ。選手たちの「経験値」という点でもやや心配が残ります。

これらが、「いばらの道」を予想する理由です。

しかし、明るい材料ももちろんあります。それは、「若い時から国際大会の経験を積んできた若手の台頭」です。

フル代表である「なでしこジャパン」が、世代交代に苦しんでいる頃、「U-17日本女子代表」は、世界の檜舞台で活躍していました。2014年の「U-17 ワールドカップ」では、見事に優勝し、続く2016年の「U-17 ワールドカップ」でも準優勝を果たしています。

今回のメンバーにも、これらの大会で活躍した選手たちが選出されています。

これらの若手選手が大活躍し、「ニューヒロイン」が誕生して、再び、「なでしこジャパン」が、日本中を感動の渦に巻き込んでくれることを期待しましょう!

そのために、何と言っても重要なのは、7月21日(水)札幌で行われるカナダとの初戦です。コロナのために無観客試合となってしまいましたが、テレビの前から最大のご声援をお願いします!

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な木曜日をお過ごしください。

 

「千原台球児の夏」開幕! 完勝で初戦突破

どうも、南弘一です。千原台高校の校長をしています。ととに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

昨日行われた全校高校野球熊本県大会1回戦で、千原台高校は鹿本商工高校と対戦しました。

3年生中心のメンバーで臨んだ千原台高校は、3回にヒット6本の集中打で5得点。5回に1点を失うものの、続く6回に長打も含めた5連打で5点を加えて、見事に6回コールド勝ちで初戦を飾りました!

皆さんもご承知の通り、昨年度は、コロナ対策のために大会自体が中止となり、野球部をはじめとする多くの部活動生が無念の涙を流しました。今年度は、大会が開催されて本校の野球部をはじめ、すべての高校球児が「甲子園の夢」を追えることに心より感謝したいと思います。

千原台高校の野球部は、熊本県内の強豪校の一つとして活躍して来ました。甲子園への出場経験はないものの、過去には県大会の決勝戦で惜しくも敗れたこともあります。また、選手の育成という面では、2年前に荒木翔太くんが、ソフトバンクからのドラフト指名を受け、プロ野球選手として活躍しています。

しかしながら、ここ数年は、組み合わせに恵まれなかったこともあり、甲子園につながる大会では、1・2回戦での敗退が続いていました。

そんな状況の中で、この4月、一つの転機が訪れます。それは、同じ熊本市立の必由館高校を率いて、甲子園出場経験を持ち、馬原投手(元ソフトバンク)、山中投手(元ヤクルト)、田中投手(元巨人)、岩貞投手(阪神)という4人のプロ野球選手を育てた名将、西田尚美先生が、定期異動で千原台高校に赴任したことです。

実は、私と西田監督は、高校の同級生です。高校時代は、私はサッカー部、彼は野球部に所属していて、同じグラウンドで汗を流しました。そんな縁もあり、前々から、彼の活躍をとても嬉しく思い、応援していました。

その彼が、本校へ赴任し、野球部の監督に就任しました。

もちろん、それまでもトレーニングに真剣に臨んでいた野球部の部員たちでしたが、西田監督の赴任により、いくつかの変化がみられました。

一つ目は、「朝の素振り」です。私は、毎朝のルーティーンとして「朝掃除」を行っています。私が、「朝掃除」のために外に出ると、毎朝「朝の素振り」に取り組む彼らの爽やかな掛け声が運動場中に響いています。

二つ目は、体力強化への取り組みです。外部コーチとして、フィジカルトレーナーの専門家を招聘し、「科学的な筋力トレーニング」を取り入れたり、「体力強化期間」として、西田監督独自の体力づくりトレーニングに取り組んだりして来ました。

このような取り組みが、早速、実を結び始めた初戦突破!

ただ、ここで気を抜くわけにはいきません。次の対戦相手は、あの全国に強豪校として名を馳せる熊本工業です。

1回戦は教育委員会での会議と日程が重なり、球場に足を運べませんでしたが、2回戦は球場のスタンドから全力で応援したいと思います!

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週の中日の水曜日。素敵な一日をお過ごしください。

サッカー五輪代表 本気で狙える「金メダル」 その根拠は…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

昨日、東京オリンピックに臨むサッカー男子日本代表が、ホンジュラス代表とのテストマッチを行い、3-1で完勝しました。

これまでもこのブログで、

「今回のチームは、メダル獲得の可能性がたいへん高い。」

とお話してきましたが、昨日の試合を観て、その期待感はますます膨らみました!

まずは、簡単に試合を振り返ります。

日本の先発メンバーは、

GK谷、DF酒井、吉田、富安、中山、MF田中、遠藤、久保、堂安、三好、FW林

の11人です。FW林は、当初の選考選手18名には選ばれていませんでしたが、「コロナに対応するために登録メンバーを18名から22名に増やす」というレギュレーションの変更が行われたために、正式なメンバーとして登録されました。

試合は立ち上がりから、日本のペースで進みます。そして、前半9分、奪ったFKをMF久保が左足で、ふわりとしたボールを相手の壁の裏へ蹴りこみ、そこに走りこんだDF吉田がうまく1タッチで合わせてシュート。先制点を奪います。

その後も主導権を奪う展開が続き、前半40分、左サイドを崩してMF三好から中央のFW林へグラウンダーのクロス。これを林が1タッチで落とし、走りこんだMF堂安が利き足ではない右足で放ったシュートが決まり、追加点を奪いました。前半のホンジュラスのシュート数は0。ほぼ完璧な内容のゲーム展開でした。

ホンジュラスは、ハーフタイムに多くのメンバーを入れ変えて、後半に臨みます。

後半に入っても20分までは、そのまま日本ペースで試合は、進みました。

しかし、そうは簡単にいかないのが、サッカーです。後半21分、日本の右サイドを崩されて、相手選手のシュートがDFに当たる形でゴールを奪われ、1点を失います。

その後、日本も交代選手を投入して反撃に転じ、後半40分、左サイドを突破した途中出場のMF相馬のクロスに再び堂安が合わせ、3点目。勝負を決めました。

この試合を経て、また、世界のサッカーシーンを鑑みて、私の期待感が増した理由をお話しします。

まず、一つ目は、何と言っても「チームの仕上がりの良さ」です。

皆さんの中には、

「相手が弱かったんじゃないの?」

と思われる方もおられるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

北中米カリブ海の第2代表であるホンジュラスは、予選でメキシコに敗れたものの0-1と接戦をしています。また、前回のリオデジャネイロ五輪では、ベスト4に進出しています。

そのホンジュラスを相手に、内容的には「格の違い」を見せつける試合が出来ていました。

しかも、昨日の試合には、ACLに出場していた川崎FC大阪の選手が合流できていません。彼らが合流してフィットすれば、さらに、チームの総合力は上がるはずです。

二つ目の理由は、「今回の五輪に出場する他国のチーム事情」です。

サッカー界のいわゆる「列強国」と言われる国のほとんどは、「欧州勢」と「南米勢」です。その二つの大陸でフル代表が競い合う「ヨーロッパ選手権」と「南米選手権」が行われており、それらの国の五輪代表には、日本の吉田、酒井、遠藤のような「フル代表でも中心であるオーバーエイジ」や久保、堂安のような「フル代表でも中心になるU-24の選手」が出場出来ません。

これまでの五輪でも、メキシコが優勝したり、アフリカ勢が決勝に進出したり出来た背景には、こような事情があります。

それを考えて、出場する各国の戦力を分析すると日本の力は、十分「Aクラス」と評価できるというのが、私の考えです。

Jリーグが、中断期間に入り一抹の寂しさを感じていましたが、昨日の試合を観て、東京五輪での男子サッカー日本代表の活躍を予感し、ワクワクして来ました!

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な一日をお過ごしください。

 

ロアッソ熊本 雷雨中断を経て 岩手と痛み分け

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

昨夜は、その解説の仕事をしてきました。ロアッソ熊本のホーム、えがお健康スタジアムで行われたJ3リーグ第14節、ロアッソ熊本対いわてグルージャ盛岡の試合をライブ中継でお伝えする熊本シティーFM791「ヴィクトリーラジオ」での解説です。

試合の方は、前半35分、ロアッソ熊本のFW杉山が右サイドから中へドリブルでカットイン。逆サイドのFWターレスへのグランダーのパスをターレスが右足でシュート!ゴールを揺らし、ロアッソ熊本が先制します。

その後、岩手の反撃を受け、前半43分、ペナルティーエリア内でドリブルする岩手のFWブレンネルに対してファールを犯し、岩手にPKが与えられました。しかし、ここは熊本のGK佐藤が見事なセーブでPKを防ぎ、1-0と熊本がリードして前半を終了しました。

ハーフタイムに熊本は、プロ入り初ゴールを決めたターレスに変えてFW樋口を投入。後半の立ち上がりは、樋口の得意のドリブルもみられて良い流れと思われた矢先の8分、右に流れていた岩手のFWブレンネルが起点となり、逆サイドでフリーのMF中村にボールが渡ります。これを中村が右足でシュート。熊本のネットを揺らし、1-1の同点となりました。

このころから雨脚が強まり、豪雨の中でゲームが進みますが、後半20分になろうかというところでスタジアムに雷鳴がとどろきました。レフェリーの判断により、試合は「雷雨のための中断」となります。

この時点で時刻は、午後8時半。

スタジアム内にアナウンスが流れました。

「午後9時に試合を続行するかどうかの判断をいたします。今しばらく、お待ちください。」

ラジオの放送時間は、午後8時58分30秒までです。残り時間は、実況アナウンサー、アシスタント、解説の私の3人で「トークショー」をして、放送を終えるというまさに異例のオンエアとなりました。

その後、「判断時刻」が「9時」から、「9時15分」、「9時30分」、「9時40分」と変更され、結局「10時に試合再開」が決定されました。

午後10時に、後半20分から再開された試合は、後半37分に岩手のFWブレンネルが2枚目のイエローカードで退場。優位に立った熊本が、DF黒木、MF岩下の立て続けのシュートなどで攻勢をかけますが、ゴールを奪うことは出来ずに1-1の引き分けで試合は終了しました。

この試合でリーグ戦の半分の日程が終わりました。

ロアッソ熊本の順位は、勝ち点24で4位。首位に並ぶ富山、福島の勝ち点が26ですから、その差は勝ち点2。8位の八戸の勝ち点が20ですので、勝ち点6差の中に8チームがいるという大混戦で前半戦を終えています。

ロアッソ熊本の前半戦を振り返ると、2つのポイントがあります。

一つ目は、昨シーズンより大きく守備の改善がみられているということです。14試合を終えての失点は12。1試合平均0.8点です。「点は取れてもそのたびに失点を重ねる」という昨シーズンの課題を克服しつつあると言えます。

あと一つは、「勝てる試合を引き分けで終わってしまう」という課題です。ロアッソの24の勝ち点の内容は、6勝6分け2敗。「6」という引き分けの数は、7位の長野と並んで、「リーグ最多」です。

リーグ戦の勝ち点は、「勝利が3,引き分けが1,負けが0」です。6の引き分けのうちで1試合勝てていれば、首位に並び、2試合勝てていれば単独首位だったということになります。

「勝負の世界に『たられば』は、ない。」と言いますが、サポーターの一人としては、いかにもったいないと感じます。

これから、リーグ戦は約1か月半の中断期間に入ります。この中断期間で大木監督の指導のもとにチームの「熟成度」を上げていき、「引き分け」を「勝ち」に変えていけるチームに成長してくれることを期待しましょう!

昨夜のゲームでは、午後10時半の試合終了。その後、後片付け等に従事されたであろうすべての関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。そのような皆様のおかげで、我々サポーターは、サッカー観戦を楽しむことが出来ています。そのような皆様に心より感謝して、今日のブログを閉じます。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週の始まりの月曜日、素敵な一日をお過ごしください。

 

自然災害の脅威 熊本地震の教訓

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日は、日曜日。ということで、休日恒例の朝の散歩に行ってきました。今日の熊本市は、雲の合間から青空がのぞき、お散歩日和です。

しかし、昨日は九州南部に線状降水帯が現れ、熊本県でも人吉市に「大雨特別警報」が発令されました。人吉市と言えば、およそ1年前の2020年7月4日、市内を流れる一級河川球磨川が氾濫し、甚大な被害を受けました。昨日は幸いにして、人的被害は出ませんでしたが、人吉市民の皆さんは1年前の記憶もあり、肝を冷やされたことだと思います。

島国である日本にとって、古代より人命を脅かして来たのは、他国からの侵略ではなく、地震津波・台風などの自然災害でした。大災害に見舞われるたびに、日本人はそれを教訓として様々な対策を講じて来ました。

このようなことに思いをはせたのは、昨夜、「壺川(こせん)校区防災連絡会」の総会に顧問として出席したからです。壺川校区は、京陵中学校区にある小学校区です。

熊本地震が起きた2016年、私は、京陵中学校の教頭をしていました。

2016年4月14日、午後9時26分、熊本地方をマグニチュード6.5、最大深度7の揺れが襲いました。教頭は、最後に学校を後にすることが多いのですが、その日は翌日が授業参観の予定だったこともあり、若手の教師が明日の準備ということでまだ学校に残っていました。私は、先に学校を出て帰宅しているところでした。そこに今までに経験したことのない大きな揺れが襲いました。

すぐに、学校に引き返すと8人の教師が職員室にいました。

「余震が来るかもしれないので、とりあえず外に出よう。」

「まず、皆さん、家庭が心配でしょうから自宅に連絡をしてください。そして、自宅が大丈夫な人は、このまま学校に残ってもらえるとありがたいです。おそらく地域の方が避難してこられると思います。避難所を開設することになるので、運営を手伝ってもらえると嬉しいです。」

8人のうち4人が学校に残ってくれました。私とその4人での「京陵中学校避難所」運営のスタートです。

この日の夜は、約100名の避難者の方が学校で一夜を過ごしました。避難所として想定されていた「体育館」は、地震の揺れですべての照明塔が床に落下してしまい使えません。

直前に耐震工事を終えていた「武道場」、校舎1階の「教室」、そして、運動場の真ん中に敷いた「ブルーシートの上」、この3か所を臨時の避難所として開設しました。

3ヶ所準備をしたのには理由がありました。

武道場」には、柔道の授業で使用する畳を敷きましたので、一番居住性は良いのですが、2階にあるので余震が来るたびに大きな揺れを感じます。

校舎1階の「教室」は、1階なので揺れの体感は軽減しますが、床はタイルであり椅子に座って、机に伏せて寝ないといけません。

運動場の「ブルーシートの上」は、余震の体感は一番少ないのですが、季節は春であり、肌寒さを感じます。

この3ヶ所のどこで過ごすかを避難者の方に選んでもらいました。

翌日には、さらに大きい本震に襲われ、「京陵中学校避難所」には前日の30倍の3000人の避難者が押し寄せ、そこから約1ケ月の避難所運営が続きました。

この時点では、「避難所運営マニュアル」もなければ「校区防災連絡会」もありませんでした。そのために、避難所運営の中心となったのは、学校の先生たちでした。当時の校長先生から「避難所運営の全権委任」を受けた私は、その時々の私自身の判断で次々と様々なことを決めていきました。

これは、京陵中学校だけでなく、避難所となったほとんどの学校が同じでした。

このような教訓から立ち上げられたのが、「校区防災連絡会」です。

私は、その後2年間、京陵中学校の校長を勤め、西原中学校の校長を経て、現在、千原台高校の校長をしています。京陵中学校を離れて3年になりますが、その当時の経験を活かして助言してほしいということで、「壺川校区防災連絡会」の顧問をさせていただいています。

熊本地震を教訓として立ち上げられた「校区防災連絡会」「避難所運営委員会」などの組織化は確実に定着してきています。

昨年の9月、台風10号の接近により、千原台高校を避難所としたことがありました。その際には「千原台高校避難所運営委員会」に所属する地域の皆さん、市役所の職員の皆さんが中心に活動をしてくださり、学校への負担は大きく軽減したことを実感しました。

自然災害は、起こらないに越したことはありません。しかし、起きたことを教訓にして、一つずつでも知見を重ねていくことは大切なことであり、有意義なことだと感じています。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な日曜日をお過ごしください。

「LGBT教育講演会」を通して 新たな出会い…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

そして、もう一つ、力を入れている活動があります。それは、「LGBT教育」研究者としての講演活動です。この7月は、4つの団体からお招きいただいています。

そんな中、先日ある学校の生徒さんたちを対象に行った講演会の時のお話です。

その学校の生徒数は、約1200名。コロナ対策のために全員を体育館に集めることは出来ませんので、1年生のみが体育館に入り、2・3年生は教室でインターネットライブ中継を視聴するという形での講演会となりました。

演題は、「令和の時代 LGBTs人権課題とどう向き合うか」です。

LGBT」のあとに「s」をつけてあることには意味があります。「LGBT」という言葉が、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の頭文字をとってできていることは、現代ではかなり多くの方々に周知されてきました。しかし、性的マイノリティーの人たちの性がこの4つに集約できるわけではありません。

例えば、「性自認(心の性)が、男性でも女性でもない」という人たちのことを「Xジェンダー」と呼びますし、「性的指向(恋愛対象となる性)がない。つまり、人に対して『like』という感情はあっても『love』という感情はない」という人たちのをことを「Asexual(アセクシャルまたはエイセクシャル)」と呼びます。

このように、性的マイノリティーと言われる人たちは「LGBT」だけではなく、もっと多様性があるのですよという意味で「s」をつけるようにようにしています。

マスメディアでは、「LGBTQ」という表現も時々されていますが、この「Q」の意味は「Queer」「Questoning」という言葉の頭文字であり、用途は同じです。

さて、講演の中身は今のような話を含めての「LGBTsについての基礎知識」と「正しい知識をもとにして、どのように行動していくか」ということを考えてもらうような内容にしています。

その日も講演を終えて控室に戻り、招いていただいた学校の担当の先生とお話しをしていました。すると、ドアがノックされ、その学校の先生とともに一人の生徒がそこに立っていました。

「南先生とお話をしたいという生徒が来ているんですが、よろしいでしょうか?」

「もちろんです。どうぞ。」

担当の先生は、

「私たちは外した方が良さそうですね。」

と状況を察して、席を外されました。

私と生徒二人になり、その生徒は

「実は、私も『当事者』というか、いつも生きづらさを感じながら生活しているので、今日の先生のお話に感動しました。あと、とても嬉しかったです。」

「そうですか。そう言ってもらえるととても嬉しいです。あと、ここまで会いに来てくれてありがとう。嬉しいです。」

生徒さんの表情には、悲壮感のようなものはなく、笑顔で話してくれています。

「このことを誰かに話すのは、これが初めてですか?」

「いいえ。仲の良い友達には、話したことがあります。でも、大人の人に話すのは初めてです。」

「そうなんですね。はじめて話す大人に私を選んでくれたわけだ。ありがとう。とても嬉しいです。」

「学校生活は、どうですか?何か困っていることはありませんか?」

「うーん。やっぱり、制服ですねー。この制服を毎日着なくちゃいけないことは、かなり苦痛です。海外の学校とか、私服で通える学校がいっぱいありますよね。」

「そうですよねー。日本の現状はそうではないし、それを変えていくためには、まだまだ時間がかかるという現実はありますよね。私が校長をしている千原台高校でも『男女の性を問わずに選べる制服』への変更を今進めていますが、実現できるのは令和5年度からという現状です。」

「ただ、ある学校では、生物学上は女子だけど性自認は男性なので、男子の制服を着たいということで、すでに男子の制服を着て登校しているという生徒もいますよ。先日、講演会のあとに一緒に撮った写真があります。本人の許可はとってありますので、見てください。」

と言って、私と男子の制服を着ている女子生徒が一緒に写っている笑顔のツーショット写真を見せました。この学校でも何とか対応したいけれど、すぐに、制服そのものを廃止したり、変更したりするのは難しいということで、この4月から校則を変更し、

「男子用の制服、女子用の制服のどちらを着用するかは、生徒・保護者の意志により決める。性別を問わず、いずれの制服を着用しても良い。」

としています。

「ただ、このような行動をとることは、少なくともクラスメイトや今までのあなたを知っている人たち皆への『カミングアウト』になるから難しいよね。」

「はい。うらやましいけど、今の自分にはちょっと無理かなあ。」

「うん。『カミングアウト』については、誰に対して、どのタイミングで行うかの決定権は、完全にあなたにあるので、そこは、よく考えて自分にとってベストの選択をしていってほしいと思います。」

「カミングアウトしなくても出来そうなことの例としては、例えば、生徒会の役員の人とかと一緒に『冬服からは、男女ともにズボンの着用を認める』(この学校の冬の制服は男女ともにブレイザーなので)という風に変えていく働きかけをしていく方法もあるんじゃないかな。」

「そうですね。何が出来そうか考えてみます。」

このような会話を20分ほど交わしたあとに、私の名刺を渡して、

「また、何か相談したいことがあったら、いつでも連絡してね。」

「ありがとうございます。」

と言って、その生徒さんは笑顔で控室をあとにしました。

はじめと最後は、素敵な笑顔でしたが、話している途中には、目が潤み、一筋の涙が流れる場面もありました。

このような涙がなくなる社会に一歩ずつでも近づいていくために、これからも講演活動を続けていきたいと思います。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。私は今日も「熊本市PTA連絡協議会」が主催される「LGBT講演会」です。一生懸命に話をしてきます。

今日一日が皆さんにとっても素敵な一日でありますように。

JFAアカデミー熊本宇城とGKクリニック 嬉しいつながり

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

解説とともに、今も現役のコーチとしても活動をしています。その一つが熊本県サッカー協会が主催する「GKクリニック」です。

「GKクリニック」とは、チームでGKとして活動する選手たちに対して専門のGKコーチが指導するというもので、月に3回、約2時間のコースを実施しています。

毎月第1、第3木曜日が「熊本コース」、第2木曜日が「宇城コース」です。熊本コースは、熊本市の「熊本県民運動公園スポーツ広場」で、宇城コースは「JFA熊本宇城グラウンド」で実施しています。GKクリニックについては、6月18日のブログ「12年目のGKクリニックがスタート! 継続の秘訣は…」に詳述していますので、そちらをお読みいただくと嬉しいです。

その「宇城コース」が、昨日からスタートしました。コロナウイルスの感染防止特別措置が発令されていたために、例年より約2か月遅れのスタートとなりました。

そこで、うれしい再会があったので、今日はそのことをお話しします。

前述の通り、「宇城コース」の会場は「JFAアカデミー熊本宇城(以下、アカデミー)のグラウンド」です。なので、GKクリニックの活動の前には、アカデミーの選手たちがトレーニングをしています。

まず、アカデミーについて説明します。アカデミーとは、「世界トップ10を目指し、サッカー界はもとより、社会で活躍する『エリート』を育成すること」を目的として設立されました。ロジング形式の教育を行い、サッカーの技術のみならず、コミュニケーションスキルの習得などにも取り組みます。はじめに設立された「JFAアカデミー福島」に続き、「熊本宇城」「堺」「今治」の4つのアカデミーが設立されています。

ロジング形式ですので、選手たちは、グランドに隣接する宿泊施設で寮生活を行っています。多くの選手たちが「プロサッカー選手になる!」という夢を抱き、中学1年生で親元を離れ、このアカデミーに入ってきます。

熊本宇城のアカデミーからもすでに数多くのプロ選手が生まれています。現在、ロアッソ熊本で活躍する酒井、河原、岩下の3選手がこのアカデミーの出身です。

そのような中で、昨日、一人の1年生アカデミー生が挨拶に来てくれました。彼は、1年生アカデミー生の中の唯一のGKです。そして、昨年度まで「GKクリニック熊本コース」に来てくれていた選手でした。

私は、このことに大きな喜びを感じました。理由は、二つあります。

一つ目は、「GKクリニック熊本コース」の活動とアカデミーの活動がつながったことです。熊本の地理的な事情を説明すると「熊本コース」を行う熊本市と「宇城コース」を行う宇城市は車で1時間ほどの距離があります。ですので、当然そこに参加する選手たちは、その近辺の選手が多くなるのですが、「熊本コース」には、さらに車で2時間かかる阿蘇方面から参加してくれる選手もいます。今回、アカデミー1年生となったGKも阿蘇から来てくれていました。阿蘇に住んでいる小学校6年生の選手が、「熊本コース」を経て、宇城のアカデミーに入る決断をするというのは、勇気と覚悟が必要です。そんな、勇気と覚悟を持ってくれる一つのきっかけになれたことを嬉しく思います。

もう一つは、彼の目標です。彼の目標は「アカデミーで多くを学んで、一流の指導者になること」だというのです。

これには、驚きました。たぶん、このような目標を掲げてアカデミーの門を叩いたのは、彼が初めてではないのかと思います。

前述のような目的で設立されたアカデミーです。これまでは、ほぼ全員の目標が「プロになりたいです!」「将来は日本代表で活躍したいです!」などというものでした。そういった中で、「指導者になりたい」という目標設定でアカデミーの門を叩く選手がいることに大きな喜びを感じました。

なぜなら、日本のサッカーがさらに発展していくためには、優秀な選手はもちろん必要ですが、それを育てる優秀な指導者の育成はさらに大切なことだからです。

これからの彼の活躍がますます楽しみです。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。平日最後の金曜日。素敵な一日をお過ごしください。