YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

熊本市立高校・専門学校改革推進中 理想の高校を目指して…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。

今日は、現在推進中の「熊本市立高校・専門学校改革」の概要と現在の状況をお話しします。

この改革がスタートしたのは、今から3年前。「新しい時代に即した高校・専門学校をつくっていきたい」という大西熊本市長のマニュフェストからスタートしました。

そして、3年間かけて色々な人たちからの意見をいただきながら、「改革の素案」が出来上がり、パブリックコメントでいただいた意見を素案に盛り込み、6月の熊本市議会市民教育委員会での審議を経て、教育委員会会議で「改革案」が議決される予定です。その「改革案」の資料が昨日、私の手元に届きました。

今回の改革のねらいは、「激しく変化し、予測不能と言われる社会を幸せな社会にしていく担い手を育成する学校」にしていきたいという10年後、20年後を見据えての改革です。

熊本市では、熊本市の教育の基本理念を次のように定めています。「豊かな人生とよりよい社会を創造するために、自ら考え主体的に行動できる人を育む」。この理念は、OECDが掲げる「2030年への向けての教育の羅針盤」ともリンクしていて「豊かな人生とよりよい社会」をWell-Being(幸福の実感)、「自ら考え主体的に行動できる人」をAgency(行為主体性、行為能力)と呼んでいます。そして、このように学校の設置者(教育委員会)が定めた理念を「スクールミッション」と言います。

この「スクールミッション」を受けて、高校の校長は「スクールポリシー」を示します。私が示している本校の「スクールポリシー(学校教育目標)」は「一生懸命はカッコイイを実践する学校づくり。~リーダーシップとフォロワーシップの育成~」です。つまり、学校生活の中で様々なことに「一生懸命に(夢中になって)取り組み、そこで、ある時はリーダーとして、ある時はフォロワーとしての経験を積むことにより、Agenncyの育成につなげていく」という方針です。

この改革の方向性、熊本市の教育の基本理念(スクールミッション)、そして、本校の教育目標(スクールポリシー)は、脳科学の見地からも理想的だと考えています。人の脳のつくりは簡単に言うと3階建てです。1階が生命維持に関わる脳(脳幹等)、2階が感情を司る脳(大脳辺縁系)、3階が理性・知性の脳(大脳新皮質)。これまでの日本の学校では、3階の脳に働きかけることに力を入れてきました。しかし、それだけではこれからの社会を生き抜く生徒を育てることは出来ません。2階の脳の一部に扁桃核という脳があります。これは、「快」「不快」を感じる脳です。この扁桃核が「快」と感じるとその行動を繰り返そうとする指令が脳全体に出されます。学校の中で生徒の脳が「快」を感じる場面をどれだけ作り出せるかが、これからの学校に課された課題であると考えています。

大きな理想を語りましたが、もちろん今の本校の生徒全員が脳に「快」を感じて登校できているわけではありません。昨日も「登校を渋っている生徒への対応」「帰国子女の生徒への対応」「特別支援教育としての通級指導教室への対応」等の話し合いを行い、課題の克服に取り組んでいます。どの課題もすぐに解決できるものではありませんが、「我々に出来ることが何かあるはずだ。小さなことでも良いからそれを一つずつ積み上げていこう」という姿勢で取り組んでいきます。

もちろん課題はありますが、本校には「一生懸命はカッコイイ」を実践し、スポーツをはじめとして様々な活動に目を輝かせて登校してくるたくさんの生徒たちがいます。昨日は、生徒が企画した「千原桜写真展」も校内で始まりました。このように生き生きと活動している生徒と毎日、ともに生活していくことで、その「生き生きさ」は自然と周りに広がっていきます。それは、脳のミラーニューロンという働きにより、いつも目にする様子を自分もマネしようとする機能が働くからです。これからも、一つ一つの課題に向き合いながら、「一生懸命はカッコイイ」をますます広げていけるように全力で臨みます。

今日も長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。皆さんにとって今日が「最高の一日」となりますように。