YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「チーム学校」の最強メンバー スクールソーシャルワーカーとは…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。

さて、皆さんは「スクールソーシャルワーカー(以下SSW)」というお仕事をご存じですか?

ウィキペディアによると「ソーシャルワーカーとは、社会の中で生活するうえで実際に困っている人々や生活に不安を抱えている人々、社会的に疎外されている人々と関係を構築して様々な課題に取り組む援助を提供するソーシャルワークを専門性に持つ対人援助職の総称」であり、多くの方が国家資格である社会福祉士精神保健福祉士の資格をお持ちです。

その「ソーシャルワーカー」に「チーム学校」の一員となっていただき、不登校やそのほか様々な困難な状況にある生徒自身や生徒の家庭に援助を提供していただいるのがSSWの皆さんです。

そんなSSWを目指す大学生の皆さんの「現場実習」が、昨日、本校で行われました。

男子3名、女子2名、計5名の学生さんに実習生として本校で1日を過ごしてもらいました。

その1時間目に、「校長講話」ということで、実習生の皆さんにお話しした内容を今日はお伝えします。

私の教師生活のスタートは、小学校でした。それから、15年間小学校の教師をしました。次に、中学校に18年間勤務し、昨年、高校に転勤して、今2年目を迎えています。この経歴は、教員の中でもかなり異色なのですが、中学教師時代のほとんどで生徒指導主事という生徒の生活面の指導の責任者をしていました。

私が、中学校に転勤になったのは2002年。約20年前です。その頃は、まだまだいわゆる「荒れた学校」とされる中学校がたくさんあり、学校内では「校内暴力」と言われた「生徒が教師を恫喝するような行為」も散見される時代でした。

というわけで、小学校から中学校へ転勤することになった私の胸中にあった言葉は

「なめれちゃいけない」

でした。そして、サッカーで鍛えた体力と恵まれた体格(当時180㎝、75㎏)にものを言わせて、ひたすら「力の生徒指導」を推し進めました。

その結果は、一時的には学校が平和になるのですが、しばらくすると「荒れ」が戻るの繰り返し。そんな時、力の生徒指導であり、当時は正しいと思って行っていた体罰すれすれの指導が「行き過ぎた指導」ということで管理職から注意を受けることになりました。それからは「力の生徒指導」が出来なくなり、これまで、力で抑えられていたやんちゃな生徒たちのパワーがさく裂。「南、死ね!」とスプレーで校区内のいたるところに落書きされるような事態になりました。

このことが、私の生徒指導の転換期となり、「力の生徒指導」から「観る生徒指導」へ徐々にシフトしていきました。

ちょうど、その頃に導入されたのが、SSWでした。

荒れる生徒たちには、必ず彼らがそのような行動に至る背景があり、それは、家庭の状況にある場合も多々あります。そのような中で家庭とつながりを持ち、支援していただけるSSWの存在は、私たち学校で働く教職員にとっては、感謝しかない存在です。

そんなSSWを目指す実習生の皆さんがこれからつけていくべき力とは何か?

それを一つだけ挙げるとすると「対応力」です。

社会には、様々な価値観を持っている人たちが生活しています。SSWが対応する保護者の人たちの価値観も様々です。

SSWの支援によって、最終的により良い学校生活、家庭生活をを送れるようになった生徒やその保護者の方からは、たいへん感謝されるのですが、そこまでの道のりには大きな険しさがあります。

特に対応初期の頃には、拒否感をあらわにする保護者もいます。時には、「何しに来た。あんたの顔なんか見たくない。帰れ!」と罵倒されることもあります。そんな状況を乗り越えるための考え方を実習生には、次のように伝えました。

「人の対応力は、その経験値に比例します。この仕事をしていくと時々『この人は何なんだ』というタイプの人に対応せざるを得ない時があります。そんな時には、この人に対応することにより、自分の『対応翼(たいおうよく)』が広がっていると思ってください。今まで自分が対応したことのないタイプの人と対応していくことで皆さんの『対応翼』は、どんどん広がっていき、SSWとしての力量も上がっていきます。」

この「対応翼」という言葉は、長年、熊本市スクールカウンセラーをしていただいていて、多くの著書も書かれている臨床心理士の岡崎光洋さんから教えていただいた言葉です。まさに、私もその通りだと思い、実習生に伝えました。

私自身も、これまでの教員生活でかなり「対応翼」を広げながら生きてきたとは思いますが、校長としての仕事を通して、さらに「対応翼」を広げていき、社会に貢献できる人間に成長していきたいと思います。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な土曜日をお過ごしください。