YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

自然災害の脅威 熊本地震の教訓

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日は、日曜日。ということで、休日恒例の朝の散歩に行ってきました。今日の熊本市は、雲の合間から青空がのぞき、お散歩日和です。

しかし、昨日は九州南部に線状降水帯が現れ、熊本県でも人吉市に「大雨特別警報」が発令されました。人吉市と言えば、およそ1年前の2020年7月4日、市内を流れる一級河川球磨川が氾濫し、甚大な被害を受けました。昨日は幸いにして、人的被害は出ませんでしたが、人吉市民の皆さんは1年前の記憶もあり、肝を冷やされたことだと思います。

島国である日本にとって、古代より人命を脅かして来たのは、他国からの侵略ではなく、地震津波・台風などの自然災害でした。大災害に見舞われるたびに、日本人はそれを教訓として様々な対策を講じて来ました。

このようなことに思いをはせたのは、昨夜、「壺川(こせん)校区防災連絡会」の総会に顧問として出席したからです。壺川校区は、京陵中学校区にある小学校区です。

熊本地震が起きた2016年、私は、京陵中学校の教頭をしていました。

2016年4月14日、午後9時26分、熊本地方をマグニチュード6.5、最大深度7の揺れが襲いました。教頭は、最後に学校を後にすることが多いのですが、その日は翌日が授業参観の予定だったこともあり、若手の教師が明日の準備ということでまだ学校に残っていました。私は、先に学校を出て帰宅しているところでした。そこに今までに経験したことのない大きな揺れが襲いました。

すぐに、学校に引き返すと8人の教師が職員室にいました。

「余震が来るかもしれないので、とりあえず外に出よう。」

「まず、皆さん、家庭が心配でしょうから自宅に連絡をしてください。そして、自宅が大丈夫な人は、このまま学校に残ってもらえるとありがたいです。おそらく地域の方が避難してこられると思います。避難所を開設することになるので、運営を手伝ってもらえると嬉しいです。」

8人のうち4人が学校に残ってくれました。私とその4人での「京陵中学校避難所」運営のスタートです。

この日の夜は、約100名の避難者の方が学校で一夜を過ごしました。避難所として想定されていた「体育館」は、地震の揺れですべての照明塔が床に落下してしまい使えません。

直前に耐震工事を終えていた「武道場」、校舎1階の「教室」、そして、運動場の真ん中に敷いた「ブルーシートの上」、この3か所を臨時の避難所として開設しました。

3ヶ所準備をしたのには理由がありました。

武道場」には、柔道の授業で使用する畳を敷きましたので、一番居住性は良いのですが、2階にあるので余震が来るたびに大きな揺れを感じます。

校舎1階の「教室」は、1階なので揺れの体感は軽減しますが、床はタイルであり椅子に座って、机に伏せて寝ないといけません。

運動場の「ブルーシートの上」は、余震の体感は一番少ないのですが、季節は春であり、肌寒さを感じます。

この3ヶ所のどこで過ごすかを避難者の方に選んでもらいました。

翌日には、さらに大きい本震に襲われ、「京陵中学校避難所」には前日の30倍の3000人の避難者が押し寄せ、そこから約1ケ月の避難所運営が続きました。

この時点では、「避難所運営マニュアル」もなければ「校区防災連絡会」もありませんでした。そのために、避難所運営の中心となったのは、学校の先生たちでした。当時の校長先生から「避難所運営の全権委任」を受けた私は、その時々の私自身の判断で次々と様々なことを決めていきました。

これは、京陵中学校だけでなく、避難所となったほとんどの学校が同じでした。

このような教訓から立ち上げられたのが、「校区防災連絡会」です。

私は、その後2年間、京陵中学校の校長を勤め、西原中学校の校長を経て、現在、千原台高校の校長をしています。京陵中学校を離れて3年になりますが、その当時の経験を活かして助言してほしいということで、「壺川校区防災連絡会」の顧問をさせていただいています。

熊本地震を教訓として立ち上げられた「校区防災連絡会」「避難所運営委員会」などの組織化は確実に定着してきています。

昨年の9月、台風10号の接近により、千原台高校を避難所としたことがありました。その際には「千原台高校避難所運営委員会」に所属する地域の皆さん、市役所の職員の皆さんが中心に活動をしてくださり、学校への負担は大きく軽減したことを実感しました。

自然災害は、起こらないに越したことはありません。しかし、起きたことを教訓にして、一つずつでも知見を重ねていくことは大切なことであり、有意義なことだと感じています。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な日曜日をお過ごしください。