どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
もともと体育教師として人生の長い時間を過ごしてきた私ですので、「スポーツ観戦」は人生の一部でもあります。ですから、今週から始まる「東京オリンピック」についてもしっかりと注目していきたいと思います。
そのオリンピックを目の前にして、昨日、千秋楽を迎えた大相撲名古屋場所。史上6度目の千秋楽全勝決戦となりました。
決戦に臨むは、6場所ぶりの出場でこの場所に進退をかける横綱・白鵬と序二段まで落ちながらもケガや病気を克服し、大関に復帰。大事な「綱とり」の場所を全勝できた大関・照ノ富士です。
ここまでの14日間、二人の強さは際立っていました。まさに、この一番は、「最強力士決定戦」とも言える注目の一番となりました。
両者にらみ合いのあとの立ち合い。白鵬は、乱暴な肘打ちのような右のかち上げから、大振りの張り手。右四つになり、上手を取るも足が出ず、最後は強引な左小手投げの連発で、この大一番を制し、賜杯をもぎ取りました。
この取り口には、賛否両論あるとは思いますが、進退をかけて臨んだ場所での全勝優勝という結果はすさまじく、
「白鵬の強さはホンモノ」
というのが、私の率直な感想です。
そこで、今日は、この「白鵬の強さの理由」を私なりに分析してみたいと思います。
まず、白鵬が他の誰よりも優れていると思える点は「目標設定力」です。
今回の優勝が、45回目の優勝です。大横綱・大鵬の優勝記録もすでに超えており、手術するしかなかった右ひざは、本人曰く「ボロボロの状態」でした。そんな中で、なぜ、あれほどの執念で今場所の土俵に上がれているのか、私は、不思議に思っていました。
その謎が解けたのは、昨日のNHKのスポーツニュースでした。生放送でリモートインタビュうーを受ける白鵬の胸には、なぜかメダルがかかっています。
「うん?大相撲の優勝でメダルを渡すことあったっけ?」
という私の疑問はすぐに解けました。
そのメダルは、白鵬の父であるジグジドゥ・ムンフバドさんがメキシコオリンピック・レスリング・フリースタイル78㎏級に出場して勝ち取った銀メダル。父親の形見だったのです。
白鵬曰く、
「これで、『東京オリンピックまで、現役で相撲をとる』という父との約束を果たせました。また、前へ進めます。」
「白鵬さんの次の目標は?」
という問いに対して、
「横綱としての勝ち星が、今、『899』なので、まずは『900勝』を目指します。」
もうすでに、次の「目標設定」が出来ています。
白鵬の父は、2018年にこの世を去っています。その時に「東京オリンピックまでは…」という目標を設定し、その目標を達成すると「次の1勝」という目標を設定しています。
白鵬の目標の設定は、「少しだけ先の目標」と「目の前の目標」が絶妙に組み合わせられていて、それを達成するために日々の努力を積み重ねている。しかも、その努力は他の人が簡単にはマネできないくらいの尋常ではない努力です。
白鵬クラスの努力をすることは難しくても、この「目標設定の手法」は、私たちにも大いに参考になります。
もう一つは、「感謝する力」です。
白鵬の立ち居振る舞いを観ていると、いつも強気で、どちらかというと「ヒール(悪役)」のイメージがありますが、よく彼を観察していると、実は身近な人たちへの「感謝」を常に示していることが分かります。
時間いっぱいの立ち合いの前に、水をつけたあと、白鵬は必ず一定の方向に視線を送り、気合を入れます。するとみるみる白鵬の顔が紅潮し、あの鬼の形相になっていくのですが、その視線の先には何があると思われますか?答えは、付き人たちの視線です。
優勝インタビューでは、
「自らも関取でありながら、付き人についてくれた『炎鵬』に感謝したい。」
と語りました。
また、この日は、家族や右ひざの手術に関わってくれた医療スタッフの皆さんも会場に招いていました。
「感謝する力」は、成功を収める人に共通する「力」です。
抜群の「目標設定力」と「感謝力」を兼ね備えた白鵬の力は「ホンモノ」です。その大横綱・白鵬に対して、場所後の横綱昇進が確実となった照ノ富士がどう挑んでいくのか。今後も展開されるであろう名勝負が、ますます楽しみです。
あと、地元出身の大関・正代も千秋楽に高安を破り、何とか勝ち越しを決めました。来場所こそは、優勝争いに加わり、地元に「正代フィーバー」を再び巻き起こしてください!
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週のスタートの月曜日。素敵な一日をお過ごしください。