どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
私は、常々、生徒たちや先生方に対して、
「人生で大切なことは、『変化』と『挑戦』である。」
「人生には、『体験』してみてはじめて気づかせてもらうことがたくさんある。」
というような話をしています。
そんな私が、どんなに「変化」し、「挑戦」してみようと思っても「体験」出来ないことがあります。
何だと思いますか?
それは、「妊娠・出産」です。これだけは、私自身が「体験」することは出来ません。
その「妊娠・出産」をテーマにして書かれた本を読みました。
そいうふうにできている さくらももこ著(新潮社)です。
著者のさくらももこさんは、TVアニメとしてもおなじみの「ちびまる子ちゃん」の原作者です。
1965年5月8日生まれの彼女は、私とほぼ同世代。私より1歳年下です。
人気のテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」の主人公「まる子」のモデルは、さくらさん自身だと言われています。ですから、アニメに描かれている時代設定は、まさに私自身の少年時代と重なり、いつもユーモアあふれる展開の中にも、なつかしさを感じながら観ています。
そんなさくらさんですが、残念なことに、2018年8月15日、53歳の若さで亡くなられています。
そのさくらさんが、生前、第一子の男の子を妊娠し、出産されるたときの日々を綴ったエッセーが本書です。
本書の帯には
「すっとこどっこいの日々もさらにパワーアップで大笑い保証付き!」
と書かれています。
テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」と同様のタッチで、さくらさんの妊婦としての日常、出産後の母としての日常がユーモラスに描かれていて、大笑いしながら読んだ場面もたくさんありました。
ただ、読後に私が感じたのは次のようなことでした。
私には、4人の子どもがいます。2人の孫もいます。
夫として、生まれてくる子どもの父親として、祖父としての立場では「出産」というものを経験してきたものの、実際に妊娠し、出産する女性の心理をいかに理解できていなかったかということです。
このエッセーの最後は、次のように結ばれています。
「私は、このエッセーを出産を勧めるために書いたのではなく、また、勧めないために書いたのでもない。ましてや何かの参考にして欲しいと思ったわけでもない。
ただ単に”妊娠・出産”という私の身にふりかかった珍奇で神秘的な出来事を皆様に聞いていただきたかっただけである。だから、これを読み終えられた今、何の得ることも無かったと思うが、わたしのエッセーとはそういうふうにできているのである。」
私が、4人の子どもの父親になろうと、2人の孫の祖父になろうと”妊娠・出産”を経験した女性を理解できていなかったと感じることは、もしかすると、「そういうふうにできている」のかもしれません。
しかし、われわれ男性にとって、「理解できていなかった」または「なかなか理解できないんだなあ」と感じつつ女性と接することは大切なことなんだと感じさせてもらえる一冊でした。
皆さんにもぜひ読んでもらえると嬉しいです。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な土曜日をお過ごしください。