どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
ここ数日、「校長の仕事」シリーズをお話しして来ました。これは、「校長の仕事」とは言えないかもしれませんが、この5~6年よく依頼を受ける「お仕事」があります。
それは、学校で行われる「職員研修」の「講師依頼」です。
昨日の午後も、近隣の中学校から「講師依頼」をいただき行ってきました。
研修のテーマは「LGBTs人権課題についての学校での取り組み」です。
「LGBTs人権課題」との出会いににつては、以前のブログで詳しくお話ししましたが、それをお読みでない方のために簡単にお話しします。
私が「LGBT」という言葉を初めて知ったのは、今から6年前、熊本市教育委員会が主催した「教頭人権研修」でした。
その研修の冒頭での
「『LGBT』の意味が分かる人は挙手してください。」
との問いに対して、挙手した者は、約130人の参加者のうち10人程度でした。
私も、
「LGBT?何のことだ?」
という状態でした。
研修を終えて、その意味をようやく理解し、
「各学校でも子どもたちに正しい知識を伝え、差別をなくす活動をしていきましょう。」
という呼びかけを受け、学校へ帰って、早速相談したのが当時の学校のALT(外国人英語教師)でした。
彼女はレズビアンであり、啓発活動等にもよく参加していることを知っていたからです。
「一緒にLGBTに関することを生徒に伝えていく活動をしませんか?」
と誘うと、
「絶対にやりたいです!やらせてください!」
と大賛成してくれて、二人で活動を始めました。
彼女が持っていたプレゼンを日本語に訳して、LGBTについてのプレゼンを作ることからスタートしました。
そして、初めに行ったのは、当時勤務していた学校の先生たちとの職員研修です。
まず、私が、「LGBTの基礎知識」についてプレゼンしました。
次に彼女が、「性的違和感を感じたときの思い」「その後の暮らし」「今、困っていること」などを話してくれました。(事前の打ち合わせで、彼女の方から「この学校の先生たちのことを信頼しているから、皆さんにカミングアウトしたい」と言ってくれていました。)
この研修には、熊本市教育委員会の指導課と人権教育指導室の指導主事にも参加してもらいました。なぜなら、このような取り組みを学校で行うのは、熊本市では初めてのことだったからです。
この職員研修を11月に行い、いよいよ次は、生徒たちに伝える予定でした。
「冬休み明けの3学期には、生徒たちへの『講話』を計画しましょう。」
ということで、彼女はクリスマス休暇を利用して、母国へ一時帰国をしていきます。
「じゃあ、また、3学期に会おうね!」
「See you!」
笑顔で別れました。
そして、年が明けた1月4日。
携帯電話がなりました。当時の校長先生からです。正月早々に、校長から教頭への電話。悪い予感を抱きつつ・・・
「あけましておめでとうございます。」
と電話をとると
「教頭先生、正月早々ごめんな。良い知らせじゃないもんな。」
「また、生徒指導ですか?」
「いや。違う。」
「何ですか?」
「実は、ALTの彼女が亡くなったという訃報が入ってきたもんで・・・」
「えっ?それは何かの間違いでしょ?あんなに笑顔で帰国していったのに・・・」
「うーん。それが、間違いないらしく・・・
どうも、自ら命を絶ったらしい・・・」
私は、絶句しました。
私や周りの先生方はもちろんのこと、学校中が悲しみに包まれました。
そして、もう一つショックを受けたのは、私たちの作ったプレゼンの一枚に
「LGBT当事者の人たちの『自死念慮(自殺を思い立つ)』の回数は、他の人たちの約6倍」
ということが書かれていたことです。
この時から
「LGBT当事者の人たちの命を守るために、自分は正しい知識を一人でも多くの人に伝えていきたい!」
という使命を感じ、活動を続けています。
その後の5年間で「LGBT」という言葉の認知度は急速に上がっています。それだけに、逆に正しい知識が伝わっていなかったり、もっと詳しく知りたいというニーズが高まったりしていて、今年になってからは、月に平均1~2回のペースで「講師依頼」をお受けしています。
タイトルに掲げた「ソジハラ」についてお話しする前に、かなりの字数になってしましいました。
「ソジハラ」とは、「ソジハラスメント」の略であり、「ソジ(SOGI)」とは、「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」の頭文字をとった言葉であるということだけをお伝えし、その中身は、明日お話ししますね。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
皆さんにとって、今日一日が、素敵な一日になりますように。