どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
先週の木曜日の朝でした。いつものように生徒昇降口で「おはよう」と登校してくる生徒たちに挨拶をしながら、生徒たちを迎えているときのことです。女子陸上競技部の監督をしている塚本大介先生が、
「ちょっと、校長先生よろしいですか。」
と言いながら歩み寄って来ました。「生徒たちの前では…」という表情でしたので、そのまま、職員昇降口の方へ二人で向かい、
「どうしましたか?」
と尋ねると、
「前陸上部監督の清水雅美先生が、昨夜、お亡くなりなったという連絡が入りました・・・」
「えっ、そうなんですね・・・体調を崩されて入院していらっしゃるとは、聞いていたのですが・・・」
二人ともそのあとの言葉が出ませんでした。
清水雅美先生は、前陸上競技部の監督さんであり、体育教師としての大先輩です。
監督時代には、おもに女子の選手の指導を担当されており、駅伝の熊本県大会3連覇中である強豪チームの礎を築かれました。
そのあとを引き継いだのが、現女子陸上競技部監督の塚本大介先生です。
ご勇退後も、陸上競技部の指導には携わっていただいており、現在の3年生が1年生の頃には、「外部コーチ」という立場で直接指導に携わっていただいていました。
また、当時は、熊本市内の中学校の陸上競技部の指導のしておられ、「中学時代に清水先生にご指導していただいた縁」で千原台高校に進学し、陸上部に入部したという選手もいます。
清水雅美先生も私と同様に長年、中学校の体育教師として勤務され、最後の勤務校として、千原台高校に赴任されていました。
そんなご縁もあり、2年前に私が千原台高校の校長にし赴任してからは、時おり校長室を訪ねられ、いろんなお話をさせていただきました。
そんな折には必ず、
「あたが、校長として来てくれて安心したばい。やっぱ、千原台の校長は体育のもんが良かもんなあ。(君が校長として来てくれて安心したよ。やはり、千原台の校長は体育の教師が良いからね。)」
と言い、私が健康スポーツコース(体育コース)を有する千原台高校の校長に赴任したことをたいへん喜んでくださいました。
また、
「おるも、あんまし調子のようなかけん、病院に入ったり出たりしよっとたい。(俺もあんまり体調が良くなくて、病院に入院したり退院したりの繰り返しなんだよ)」
「ばってん、調子のよかときは、陸上部の練習になるべく顔ば出すけん。(でも、体調の良い時には、なるべく陸上部の練習に顔を出すから)」
「いっちょ、これからもよろしく頼むばい。(ひとつ、これからもよろしく頼むよ)」
独特の熊本弁でこのように語られていたことが、昨日のことのように思い出されます。
訃報を聞いた日、いつものように授業を参観して回っていると、一人の女子生徒が学習道具を出すこともなく、うなだれてしくしく泣いています。
私が声をかけようとすると、授業していた先生が私に目配せをしました。
「校長先生、清水先生の訃報をさっき聞いたようで・・・」
その生徒は、中学時代にも清水先生からの指導受け、先生の勧めで千原台の陸上部に入部してくれて、今やエース級の活躍をしているMさんでした。
私は、胸が締め付けられる思いになりました。
翌日、お通夜が営まれました。
大変多くの方々が、弔問されていましたが、コロナの影響で、全員が会してお参りをするスタイルではなく、受付を済ませた者から順次ご焼香をし、遺族の皆様にご挨拶をするという形でのお通夜が執り行われました。
私の前にご焼香をしたのは、女子陸上部の3年生部員でした。清水先生の遺影を前にして号泣し、涙が止まりません。
母親に肩を抱かれて、何とかご遺族の前まで歩んだその生徒に、清水先生の奥様は、
「ありがとうね。うちのお父さんもきっと空の上から、あななたちの姿をみとらすけん、これからも頑張って走ってね。」
と優しく声をかけてくださいました。
次に歩を進めた私は、清水先生ご自身とは何度もお会いしていますが、ご家族の皆さんとは初対面です。
「現在、千原台高校の校長をしております南と申します。生前の清水先生にはたびたび校長室をお訪ねいただき、激励の言葉をいただいておりました・・・」
とご挨拶をすると
「あー、校長先生。主人がいつもYouTubeを観ていたので、私たちは先生のお顔を存じ上げていますよ。これからも陸上部をよろしくお願いしますね。」
と優しく声をかけていただきました。
私は、驚くとともに感動して胸が熱くなりました。
清水先生とは、何度もお話をしていましたが、YouTubeについてお話ししたことはなかったからです。
私のYouTubeチャンネルでは、サッカーの解説のほかに千原台高校の生徒たちへのインタビューも行っていて、大会で優秀な成績を納めてくれる女子陸上部の皆さんへのインタビューもよく行っています。それをご覧になっていたのだと思います。
清水先生の千原台高校陸上部への愛の深さを心に刻み、もう一度ご遺影に手を合わせて、お通夜の会場をあとにしました。
そして、清水先生のご期待に応えられるような学校経営をしていくことを心に誓いました。
ご冥福を祈りし、心より哀悼の意を表します。合掌。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。