どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
10月25日(月)から11月5日(金)までの2週間に渡って行っている「校内行事」があります。
それは、「研究授業旬間」です。
この2週間の間に、各教科の代表の先生方や初任3年目以内の先生方など10名の先生方が「研究授業」を行います。
「研究授業」というのは、教師の授業力を高めることを目的として行うもので、まずは、その授業をどのように行うかというプランニングをします。
そのプランニングを記したものを「学習指導案」と言います。
プランニングするのは、1時間の授業についてだけではありません。まずは、その単元(生徒が学習する内容の一つのまとまり)全体のプランニングをし、その中で、「研究授業」として行う1時間の授業の内容を詳しくプランニングして、「学習指導案」に書き込みます。
「学習指導案の作成」→「研究授業の実施」という経験は、「教師修行」には欠かせない経験であり、はじめての「教師修行」である「教育実習」に取り組む学生などにとっては、これが実習期間の最大の難関となります。これが、終わるまでは、ほぼ徹夜のような状態で臨むのが、教育実習生の常となります。
もちろん、これまでにもこういった「教師修行」を重ねてきている本校の先生方ではありますが、「学級経営」、「部活動指導」、「各種検定へ向けての指導」等の日常業務を行いつつ、「研究授業旬間」を行い、数多くの先生方が「研究授業」に臨んでいる千原台高校の先生方の「学ぶ姿勢」を大変ありがたく、また、嬉しく思っています。
月曜日にそのトップバッターとして授業を行ったのは、保健体育教師で本校赴任2年目の先生でした。
単元は「サッカー」です。
体育の授業でサッカーなどの球技を行う際に指導する教師にとって難しいのは、「生徒間の技能の差」です。
授業を受ける生徒の中には、「サッカー部で中心選手として活躍している生徒」もいれば、「スポーツ経験の少ない生徒」もいます。
そんな中で、今回の「研究授業」では、サッカー部の生徒たちを各チームのリーダーとしてチーム編成を行い、「スポーツ経験の少ない生徒たち」もいきいきとプレーできるように工夫されていて、素晴らしい授業になっていました。
続いて昨日行われた「研究授業」は、英語の授業でした。こちらは、「初任者研修」の一環として行われました。
内容は、各班ごとに世界の様々な国について生徒たちがグループごとに調べ、それを英語で「プレゼン」するという内容でした。
8つの班を編成し、ロシア、ノルウェー、カナダ、オランダ、フランス、韓国、フィンランド、ベトナムといった国々について、班ごとに「プレゼン」しました。
このような形式で授業を行う際に注意すべき点は、「班の中で『お客さん』になってしまう」生徒を作らない」ということです。
「研究授業」の後には「合評会」という、授業の反省会を参観者で行います。私は、他の業務があったので、昨日の「合評会」には参加していなったのですが、「合評会」が終わったあとに、授業者の先生が校長室を訪ねてきました。
「校長先生、授業を参観いただき、ありがとうございました。何か授業についてアドバイスをいただければと思い、参りました。」
「研究授業、お疲れさまでした。では、まず、合評会ではどんな話題が話され、そこで、先生は何を学んだかを教えてもらっていいですか。」
ということで、「研究授業」、「合評会」について本人に振り返ってもらいつつ話を進めました。
その中で嬉しく感じたのは、授業者から、
「普段は、とてもおとなしく、あまり会話をすることがない生徒がいて、私は『プレゼン』の時には『クリック係』になってしまうのではないかと心配していたのですが、今日の授業では、堂々と発表してくれて嬉しかったです。」
という言葉が聞けたことでした。
この授業で「お客さん」を作られなかったということです。
この2時間の「研究授業」を参観して、さらに嬉しかったことがもう一つありました。
それは、一人の生徒の成長した姿です。
たまたま、この2時間の授業は、同じクラスで行われたために、「サッカーの授業に取り組む姿」と「英語の授業に取り組む姿」を目にすることが出来ました。
彼は、以前に私が校長をしていた中学校の出身であり、当時は、特別支援学級に在籍していました。
私は、その中学校でも「朝掃除」をしていたのですが、彼はよく
「校長先生、僕も手伝います!」
と言って、ほうきを持ってきて、一緒に掃き掃除をしてくれていました。
そんな彼と再会したのは、昨年の夏「体験入学」を開催した時でした。誰よりも早く千原台高校にやってきて、「体験入学」に参加してくれていました。
「久しぶりだね。来てくれてありがとう。千原台を受験しようと思ってくれているのかな?」
と声をかけると、
「はい。千原台に合格して、eスポーツ部に入りたいと思っています!」
と中学時代と変わらぬ笑顔で応えてくれました。
その後、千原台高校を受験して見事に合格!
毎日元気に自転車で登校し、授業やeスポーツ部での活動に励んでいます。
そんな彼の「研究授業」での姿に感動しました。
サッカーの授業では、「経験の少ない生徒」の一人ですが、必死にボールを追いかけて
爽やかな汗をかいていました。授業後に昇降口で会ったので、
「サッカーの授業はどうでしたか?」
と尋ねると、
「楽しかったです!」
と笑顔で応えてくれました。
英語の授業では、誰よりも大きな声で、はきはきとした発音で、英語の「プレゼン」をしていました。ALT(外国人英語教師)の先生からの好評で名前を挙げられるほどの活躍ぶりでした。
「学び続ける教師」のもと、「成長し続ける生徒」の姿があります。
さらに、こんな姿をたくさんみられる学校にしていきたいと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。