どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
昨日のブログでは、熊本県産業教育振興会・産学懇談会の「専門高校生による研究・実践発表」で発表された球磨中央高校の取り組みをお話ししました。
「人吉球磨は負けない~豪雨災害、コロナ禍からの復興~」というテーマで、豪雨災害とコロナ禍というダブルパンチを受けて苦しむ地元の商店や観光産業を救うために立ち上がった高校生のお話。
私も会場でこの発表を聴いて、胸が熱くなったのですが、ブログを読んでいただいた読者の方からもありがたいコメントをいただきました。
「流石、素晴らしい実践ですね。また、商業高校だけの全国大会もありますね。高校生の新しい発想と新奇な目を見守っていきたいですね。また、そこでしか出会えない校長も貴重な体験をしていますね。人間の引き出しがまた増えましたね。では、また。」
私は、毎朝ブログを書き上げると、そのブログをFacebookとTwitterにリンクさせています。
Facebookを通してこのコメントを送ってくださったのは、私が京陵中学校で教頭をしている時に校長先生をされていた志垣裕二先生です。
こうして、時折、Facebookで温かいコメントをいただいています。
志垣先生がおっしゃる通り、このような高校生たちと身近に接することで私自身が成長させてもらっていると感じます。
ということで、今日も次の発表をご紹介します。
天草にある熊本県立天草拓心高校の発表です。
テーマは「苓北町沿岸の漂着ゴミについて~天草の海洋汚染の現状や漁業問題を重ねて~」です。
天草拓心高校は、その名の通り天草の苓北町にあり、「海洋科学科海洋航海コース」を有しています。
このコースを卒業した多くの生徒たちが、卒業後は「船乗り」をはじめとした「海洋関連事業」に携わります。
ちなみに、以前のブログでお話ししたことがある私の京陵中学校サッカー部監督時代の教え子で、現在は「一等航海士」として活躍しているコウ君もその一人です。
また、「海洋学科海洋航海コース」の生徒たちは、実習船「くまもと丸」に乗船し、海洋実習も行います。
そんな彼らだからこそ見えてくる貴重なテーマです。
彼らは、学校がある苓北町の海岸線で、趣味の釣りを楽しむ中で、一部の釣り場では、歩きにくいほど大量にゴミがみられる現状に気づき、漂着ゴミによって苓北町の海洋環境がどのように変化しているのかを調査し、少しでも環境の保護につなげたいという思いでこの研究・実践をはじめました。
調査してわかったことの一つは、「漂着ゴミの多くはプラスチック製品」という現実です。
彼らは、調査ポイントを「天草西海岸」「天草東海岸」「学校裏」の3ポイント設置して調査したのですが、「天草西海岸」で一番多くみられたゴミは、「ペットボトル」だったそうです。
そして、その「ペットボトル」の多くが、外国のものであり、その国は、中国、インド、そして、なんと南アフリカのものもあったと言います。南アフリカから地球を半周して、天草の海に流れついているわけです。
また、これらの「海洋プラスチックごみ」の多くが、はじめから海に捨てられたものではなく、陸地に捨てられたものが川を通って海に流れつき、それが、海流に乗って流れて来るのだそうです。
当たり前のことである「ゴミのポイ捨てをしない。」ということを「世界の常識」にしていくことが大切だと感じました。
二つ目の大問題は、海中に漂う「マイクロプラスチック」の問題です。
目に見えないような大きさになってもなくならず「マイクロプラスチック」として、プラスチック成分が海の中を漂っており、それを魚が食べてしまい、その魚を食する人間に健康被害を及ぼす恐れが指摘されています。
そこで、彼らは苓北町沿岸で自分たちでアジを釣り、そのアジを解剖して胃袋の中を取り出し、顕微鏡で観察してみました。
すると、確かに「マイクロプラスチック」が確認されたということです。
もちろん、アジの胃袋を人間がそのまま食することはないと思いますが、この問題の深刻さを再認識しました。
世界的な環境問題がテーマですので、今すぐ「正解」を導けるわけではありませんが、彼らだからこその視点を持った研究・実践であり、素晴らしい内容でした。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。