どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
「5秒前、4、3、2,1!」
「8時半になったよ!」
私と妻は、スマホをクリックして「予約ページ」に一斉にアクセス。
「つながった!」
「おばあちゃん、どこの病院にする?」
「おじいちゃんは、どこにしますか?」
昨日の朝の8時半の我が家の光景です。
我が家は、朝から緊張感につつまれました。
それは、同居する両親(ともに80歳)の「コロナワクチン3回目接種」の予約解禁日だったからです。
「予約出来ました!」
無事に2人とも2月上旬の予約が完了。家庭内に安堵の空気が流れました。
現在広がっているオミクロン株は「重症化しにくい」とは言え、80歳になる高齢の両親にとっては、やはり怖い病気です。
「一刻も早く3回目のワクチン接種を…」
と臨む高齢者の方は多いと思います。
何とか両親の接種予約が出来てほっとしました。
というわけで、今日のブログでは、「ウィズコロナの生活 『京大おどろきのウイルス学講座 宮沢孝幸著(PHP新書)』に学ぶ(後編)」と題して、昨日のブログの続きをお話しします。よろしくお付き合いください。
昨日のブログでは、「新型コロナウイルスは、突然現れたウイルスではない。」「にもかかわらず、世界に広がってしまった理由」をお話ししました。
その続きです。
まず、「そもそもウイルスとは、何か?」についてです。
「ウイルスは、遺伝情報を包んだ粒子です。
大きく分けるとDNA型とRNA型のウイルスがあります。(中略)
ウイルスは設計図や手順書(DNAやRNA:筆者加筆)は持っていますが、工場(リボソーム)は持っていません。ですから、ウイルスは自分自身では増強することが出来ません。ウイルスは生物に感染して宿主の細胞の中に入り込み、宿主の細胞内の工場を利用して増殖しています。」(本書p73より引用)
とてもわかりやすい説明ですね。
この「宿主」となる「生物」は、もちろん人間だけではありません。犬、猫、牛、豚、鶏…ありとあらゆる「生物」の中で増殖しています。
そして、ウイルスはすべてが「病原性」を持つわけではありません。
良いウイルス(レトロウイルス:詳細は後述)もいるのです。
また、同じウイルスでも「宿主」との「相性」によって、病気を発症させたりしなかったりします。
今、パンデミックとなっている新型コロナウイルス(SARS‐cov-2)は、コウモリを「宿主」としていたのが、何らかの理由で人間に感染したとされています。
その時、コウモリは肺炎を起こしてはいませんでした。
つまり、新型コロナウイルスの他にも、現在、動物を「宿主」として生息しているウイルスで、人間に感染すると恐ろしい病気を発症させるウイルスは、地球上に無数にあるということです。
著者は、「この分野の研究に人類は力を入れるべきだ」と主張しています。
ところが、「今すぐに役立つ分野(ワクチン開発等)」には、莫大な予算がつく一方、このような「基礎研究」の分野には、本当に少額の予算しかつかないのが現実です。
そこを改善していかないと、「第2、第3の新型コロナウイルス(のように人類を苦しめるウイルス)」が次々に出現してしまう恐れがあります。
この点は、今後、世論を喚起していくべき論点だと感じました。
最後に、著者が多くのページを割いて説明していたのが「レトロウイルス」の存在です。
「レトロ」という言葉からは「昔の」いう意味を連想しますが、ここで使われている「レトロ」は「逆の」という意味だそうです。
著者は次のように説明しています。
「生物の細胞の中では、
DNA→RNA→タンパク質
という流れになっています。体の設計図DNAをコピー(転写)して、RNAという手順書を作り、手順書をもとにタンパク質を作ります。(中略)
ところが、レトロウイルスでは、
RNA→DNA
という逆の流れが起こっていることがわかりました。」(本書p124~125より引用)
そして、このレトロウイルスは、「哺乳類の胎盤の形成に関わっている」、「がんの治療に役立つ可能性を秘めている」というようなことが主張されています。
元々「文系頭」の私には、このあたりのことをわかりやすく説明する力量がありませんので、興味を持たれた方はぜひ本書をお読みください。
現在、私たちの生活に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスについて。そして、ウイルス感染症に今後どう向き合っていくべきかをあらためて考えることが出来る一冊でした。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。