YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「2020年からの教師問題 石川一郎著(ベスト新書)」に学ぶ!

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

①「知識は人間だけによって創られていくのであろうか。」

②「永遠に生きれば人は幸せだろうか。」

突然ですが、この二つの「問い」はどこで出されたものだと思いますか?

①は「2015年 慶応義塾大学経済学部 小論文」、②は「2014年 早稲田大学政治経済学部 英語」で使われた「入試問題」なのです。

さらに「2014年度 東京大学理科一類(外国学校卒業学生選考)」では、

「もし、地球が東から西に自転しているとしたら、世界はどのように異なっていたと考えられるか、いくつかの観点から考察せよ。」

という出題がされています。

これらの入試問題に共通するのは、いずれも「正解のない『問い』」であるということです。

では、このような「問い」に応えられる生徒を育てていくために「教育現場」はどのように変わっていくべきなのかを論じた一冊が、「2020年からの教師問題 石川一郎著(ベスト新書)」です。

本書が書かれたのは、2017年であり「2020年には、こういうことが求められますよ。」という視点で書かれているのですが、2022年を迎えた現在、まさに、本書に書かれていることが求められていると感じました。

来年度から高校でも「新指導要領」にもとづいた教育がスタートします。

そこで育むべき資質・能力として求められているのは

① 知識及び技能

② 思考力・判断力・表現力

③ 学びに向かう力、人間性

の3つの力です。

これまでは、「定期テストの結果」と「平常点」から評価していた高校での「評価の仕方」もこの3つの観点で評価することになります。(小学校・中学校ではすでにこの3観点での評価が始まっています。)

このような背景の中で、著者が本書で述べている主訴は「最も変わるべきは教師の姿勢」であるということです。

現在も「現役教師」の一員として現場にいる私には「耳の痛い主張」ですが、確かにその通りと感じる部分も多々ありました。

著者は、「改革を実行する上での教師の問題点」として、次の3つを挙げています。

① 教師なのに主役感を持ってしまう

② 生徒の「モヤ感」を許容できない

③ 知的好奇心を忘れている

①について著者は

「『自分が担任した学年で〇〇大学に何人合格させた。』

 『自分が指導した〇年度のチームを○○大会で優勝させた。』

 生徒たちが、何かにおいて素晴らしい結果を残すのは、教師としても嬉しいことです。嬉しくてそれを周囲に語ること自体は全く問題ありません。

 問題なのは、「自分が~させた」という感覚なのです。

(中略)

 さらに厄介なことに、このように『主役感』を持って老いる教師は生徒から見れば、実績もあってカリスマ性もある『いい教師』とされていることが多々あります。

 (中略)

 このタイプの教師は、指示を徹底するのが特徴です。」(本書p121より引用)

私自身の中にもここに指摘されているような「いい教師観」が確かにあったように思います。

 「主役は生徒」であることを、今一度しっかりと認識しなくてはいけないと感じました。

②については、「教師はどうしても答えを出したがる」というのが著者の主張です。

「モヤ感」という言葉は著者独特の表現なのですが、生徒が「答えがよくわからない」という「モヤっとした感じ」を持ち帰ることから、生徒に「知的好奇心」が芽生えるというのが著者の主張です。

③については、その原因を「教師の多忙感」としています。

これについては、まさにその通りだと思います。

私自身も今でこそ「年間200冊以上の読書を!」などと言って実践していますが、これも校長になってからの話であり、体育教師として働いている時にはとてもそんな余裕はありませんでした。

これを解決するためにも「働き方改革」が必要になってきます。

著者である石川一郎氏のプロフィールには「香里ヌヴェール学院・学院長」と書かれていました。つまり、私立高校の校長先生ということで、いわば私と「同業者」です。

このような方のご意見もしっかりと学びながら、今の仕事に活かしていきたいと思います。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。