YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? 山口周著(光文社新書)」に学ぶ

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日のブログのタイトルは、「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? 山口周著(光文社新書)」に学ぶ!です。

「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」というのが今回ご紹介したい本のタイトルなのですが、なんだか、「何のこっちゃ?」という感じのタイトルですよね。

私が、この本を手に取った理由は、山口周さんの著書だったからです。

以前に「武器になる哲学(KADOKAWA)」「ニュータイプの時代(ダイヤモンド社)」という山口さんの著書を読んで、非常に学ぶことの多い本だったので、「さらに、彼の著書を読んでみたい。」という気持ちを持っているところに、本書が目に留まり、すぐに購入しました。

まずは、山口さんのプロフィールをご紹介します。

山口周(やまぐちしゅう)

1970年東京都生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了、電通、ボストン・コンサルティンググループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画、現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書多数。

といった感じです。

大学は「哲学科」の卒業、専門は「人材/リーダーシップ育成」ということで、前掲の著書が産まれた背景に合点がいきました。

本書の冒頭では、本のタイトルの通りに、世界のエリート社員たちが美術系大学院で学ぶような統合的でコンセプチュアルなスキルを学び始めていることを、英国の経済誌「ファイナンシャルタイム」や「ハーバードビジネスレビュー」に掲載された記事を引用して紹介しています。

そして、

「世界で最も難易度の高い問題の解決を期待されている人々は、これまでの論理的・理性的スキルに加えて、直感的・感性的スキルの獲得を期待され、またその期待に応えるように、各地の先進的教育機関もプログラムの内容を進化させている」(本書p10より引用)

と述べています。

本書では、「はじめに」のあとに「忙しい読者のために」という章が用意されていて、ここを読んでもらえれば、著者の主張の大筋を理解できる構成になっています。

著者の主張は、次の3つの小見出しに現れています。

1、論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある

2、世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある

3、システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

現代が「VOCU(予測困難)の時代」と呼ばれているのは周知の事実です。

その時代への対応について、著者はこう主張します。

「現在のように変化の早い世界においては、ルールの整備はシステムに引きずられる形で、後追いでなされることになります。そのような世界において、クオリティーの高い意思決定を継続的にするためには、明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に『真・善・美』を判断するための『美意識』が求められることになります。」(本書p20より引用)

このあとの章で「真・善・美」を判断するための「美意識」がいかに重要かということが、様々な例を引きながら考察されていきます。

私の心に最も強く響いたのは「『偏差値は高いが美意識は低い』という人たち」という項であげられている「オウム真理教事件」を引き起こした幹部たちの例です。

彼らは、みな「高学歴」の持ち主でした。

事件当時、「そんな人がなぜ?」というとらえ方をする人が多くいたのですが、そんな彼らにはある一つの共通点があった。それは、「偏差値は高いが、文学に触れた経験が極端に少なかった」という点です。

また、彼らが「地下鉄サリン事件」で使用したサリンなどの化学物質を生成する場所は「サティアン」と呼ばれていたのですが、その場所はまるで廃墟のような場所であり、彼らが「美意識」に著しく欠けていたことの一つの表れであると言います。

まさにその通りだと感じました。

「『真・善・美』を判断するための『美意識』」を高めることの必要性を感じ、そのためいは、美術作品に触れる機会を持つことはなかなか難しくても、「文学作品(小説)」に触れる機会を増やしていきたいという決意を新たにしました。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。