どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
「感染対策を行いながら、経済を回すべき!」
「命を守るための感染対策が最優先!」
新型コロナウイルスとともに過ごすことになったこの2年間に度々耳にしてきた議論ですよね。
これを学校に置き換えると、
「感染対策を行いながら、平常の授業を行うべき!」
「感染対策が最優先!」
という議論となります。
ご存知の通り、熊本県は先週末「まん延防止重点措置を3月21日まで延長する」という判断をしました。
それを受けて、千原台高校では「3月7日㈪~3月11日㈮までの授業は『分散登校・オンライン授業』とする」ということを決めてこの一週間の授業を行ってきました。
「分散登校・オンライン授業」とは、午前中に出席番号奇数の生徒は登校し対面授業を受け、偶数の生徒は家でオンラインで同じ授業を受ける。午後は入れ替わって、奇数の生徒は帰宅してオンライン、偶数の生徒は登校して対面授業を受けるというやり方です。
この方法のメリットは、高校の学校生活で最も感染リスクが高い時間帯である「昼食時間」をさけることができる点です。
しかし、対面で授業を受けられる生徒が半分しかおらず、教育効果は半減してしまいます。
千原台高校が、この決定をしたのは3月3日㈭でした。
理由は、二つありました。
一つは、熊本県知事が「まん延防止重点措置の延長を政府に要請する」というニュースが届いてからしか決定できなかったこと。
あと一つは、3月4日㈮が本校では「後期入試採点業務による日曜出勤に変わる振替休業日」となっていたためです。
ところが、これが思わぬ波紋を呼ぶことになります。
熊本県教育委員会から3月4日㈮に「まん延防止重点措置の延長に伴う学校生活について」という通知が出され、そこに、現場にとっては大きな影響のある二つのことが書かれていたからです。
一つ目は「3月7日以降については、地域や学校の感染状況に応じて、分散登校、時差登校、短縮授業等を行い、引き続き感染対策に努めること。」
二つ目は「3月7日から、十分な感染対策を行った上で部活動を行うことができる。」という点です。
これを読んでも「これまでと変わらないのでは?」と思われた方も多いかもしれません。
いえいえ、現場にとっては大きな変更なのです。
まず、一つ目の肝は「分散登校、時差登校、短縮授業等」という部分です。このいずれかの対策で良いとも読めるわけです。
3月4日㈮にこの通知を受け取った近隣校は、最も授業への影響が少ない「短縮授業」の方向へ舵を切ったのです。
その日の夕方5時過ぎに、近隣の高校の校長先生から私の携帯に電話がありました。
「県からの通知みたね?」
「いいえ。うちは今日は振替休業日なんですよ。」
「そうだったね。県の通知をみると、『短縮授業』でもOKだったけん、うちは、来週から『40分授業の6時間』にしたもんね。」
「えー。弁当も食べるんですか?」
「うん。学年の先生方が教室についてくれると言うんで『黙食』を徹底して食べさせることにした。」
「そうなんですか~。うちはもう今からの変更は無理なんですよね~。昨日の時点で『分散登校・オンライン授業』に決定して、すでに生徒や保護者にメールで連絡してるんですよ。」
「そうだったよね。連絡が遅れて申し訳ない。」
「いえいえ。それは仕方ないです。ご連絡ありがとうございました。」
この電話を切って、思わずため息がもれました。
前述の通り、3月4日㈮は千原台高校は振替休業日ですので、この通知を受けての変更は不可能なわけですが、このニュースが伝われば、「どうして近隣校では対面での6時間授業が出来て、うちでは出来ないんだ!」という意見が職員の中から出てくることが予想されたからです。
熊本県教育委員会の通知については、受け取るとともに職員には「チームス(オンライン連絡システム)」で流していましたし、新聞でも報道されていましたので、職員は当然知っています。
なので、3月7日㈪の職員朝会の冒頭で、校長である私から次のように話しました。
「熊本県からの通知が3月4日㈮に出されました。内容はすでにお知らせした通りです。本校は3月4日㈮が代休だったために、3日㈭に『分散登校・オンライン授業』を決めたわけですが、近隣校の校長先生から4日㈮の夕方、私の携帯に電話があり、あちらは『40分の6時間授業』という『短縮授業』で行うという連絡がありました。ただ、本校はすでに生徒、保護者に連絡済みですので、今週は『分散登校・オンライン授業』を行い、来週の日課については、なるべく今週の早いタイミングで決定したいと思います。」
職員の間からどよめきが起きました。
予想していた通り「隣が出来て、なんでうちだけ・・・」という思いがあることが感じられます。
「校長先生、うちも明日から短縮授業じゃダメですか?」
という発言が出ました。
「先生方の『少しでも早く平常の授業を行いたい』という気持ちは十分承知しています。ただ、この場で明日からという決断をくだすことは出来ないので、一度預からせてください。」
ざわめきの中で職員朝会は終わりました。
その後、月曜日、火曜日と管理職、教務主任、各学年主任、保健主事による会議を重ね、
「来週からは『黙食の徹底』を条件に『45分の6時間授業』という『短縮授業』を行う。」
ということを決定し、昨日、生徒、保護者に連絡しました。
まだまだ、熊本県では感染者数の減少がみられていませんので、しっかりと感染対策を行いながら、来週の学校生活を送らせたいと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。