YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「仕事ができる」とはどういうことか? 楠木建・山口周著(宝島社新書)に学ぶ!(後編)

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日のブログのタイトルは、「仕事ができる」とはどういうことか? 楠木建・山口周著(宝島社新書)に学ぶ!(後編)です。

先日、(前編)のブログを読んでいただいた読者の方から次のような嬉しいコメントをいただきました。

「なるほどですね。では、センスの会得には何が必要か?興味がわきますね。センスは生まれ持ったもので、磨けないものとの固定観念がありますね。」

まさに、「センスは生まれ持ったもの」という観念を私も持っていました。

今日のブログでは、その点についての2人の著者の考えをお話ししていきますね。

センスについて楠木さんは次のように述べています。

「『天賦の才』という言葉があるように、センスというと生得的、先天的なものに思われがちなのですけれども、実際にはセンスというのは大いに事後的、後天的なものだと思います。みんなそれぞれに試行錯誤の中で時間をかけて練り上げていったものですね。センスを磨くための教科書や標準的な方法がないので、いかにも生まれたときに決まっちゃってるみたいにみえるんですけど、本当にそんなことはない。」(本書p226より引用)

それに呼応して山口さんも、

「その通りだと思います。センスの習得は事後性が高い。事後性が高いというのはプロセスと結果の因果関係がよくわからない、ということですよね。だから、結果として習得している人をみるとプロセスをすっ飛ばして習得しているように見える。でも本当はそうじゃない。だからこれも一種のディープラーニングなんでしょうね。ディープラーニングも結局は『何が出てくるかわからないけど大量にデータを飲ませたら何か出る』ということで、これも事後性が強いですよね。」(同上)

と述べています。

ということで、2人の著者は「センスとは後天的に習得するもの」ということを明言しています。

ただし、スキルの習得には教科書があるし、その結果がみえやすい。

対して、センスの習得には教科書や標準的な方法がないので、センスのある人をみたときに「先天的なもの」と思いがちだというわけです。

センスの習得と似た例として山口さんが「ディープラーニング」をあげています。

ディープラーニング(深層学習)とは、人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる機械学習の手法のひとつです。人工知能(AI)の急速な発展を支える技術であり、その進歩により様々な分野への実用化が進んでいます。近年開発の進んでいる自動運転車においてもカギとなっているのはディープラーニングです。」(WEBサイト:MathWorksより引用)

ディープラーニングは大量のデータを読み込んで人間の脳のように処理するところに特徴があります。

つまり、センスを磨くためには「大量のデータ=教養や体験」を処理するという過程が必要なのだと私は解釈しました。

そして、このような過程を楠木さんは「修行・錬成」という言葉で表現しています。

もうひとつの視点として2人の著者が述べていることがあります。

それは、「センスメイキングとは『人間洞察』である」という視点です。

その例として紹介されているのが、楠木さんが日本電産永守重信氏と対面した時のエピソードです。

永守重信氏とは「日本電産創業者・代表取締役会長兼最高経営責任者。『フォーブス誌』によると2021年3月時点の総資産は、87億ドルで、日本長者番付で4位」。(Wikipediaより引用)

という日本の代表的な実業家です。

この方と楠木さんがある会合で一緒になった際の帰り際に、

「今日はどうもありがとうございました。」と挨拶に行ったら、

「君のお父さんは日本精工の人じゃないの?」と言われたというのです。

実は、当時、楠木さんのお父様が日本電産の取引先である日本精工に勤めておられたのです。

「楠木:それでびっくりして『なんでわかったんですか?』というと、『名前が楠木だし、声がそっくりなんで、すぐわかったよ。お父さん、元気?』と言うんですね。

 山口:それはすごい。よくわかりましたねぇ。

 楠木:その後は特にお目にかかることがなくて、たぶん2~3年は間があったと思うんですけど、ある時、また経済産業省の会議かなんかでお目にかかることがあって、役所のビルに入るとちょうどエレベーターで一緒になったんですよ。そうしたら永守さんは僕の顔を見た瞬間、いきなり『お父さん、元気?』とおっしゃたんですよ。これには驚きました。

 山口:超人ですね。

 楠木:(中略)『よく覚えてらっしゃいましたね。』というと『いや、僕は2000人から3000人の個人データなら覚えられていたんだけど、最近は携帯電話が出てきて、そこにアドレス帳が入っちゃったので、自分の独自能力を失ったのが残念なんだよ』と。

 昔は電話番号、家族構成など従業員全員の情報が全部頭の中に入っていたと言うんです。『いやあ、すごいですねぇ。』と言うと『いや君も僕みたいな偉い人間に覚えてもらっているとうれしいだろう!』と、愛嬌のあることを言うんですよ。なんか二重三重の人間についての理解の深さというか。ま、とてつもない人心掌握力ですよね。僕もそうでしたけど、みんな一発で永守さんにやられて好きになっているに違いない。

 山口:結局『人間をわかっている』ということなんでしょうね。(後略)」(本書p223~225より引用)

私自身も「修行・錬成」、「人間洞察」という2つの視点を意識しつつ、自らのセンスを磨き続けていきたいと思います!

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。