YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

熊本市役所・熊本県警・熊本市教委が合同で来校 その依頼とは…(中編)

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

昨日のブログでは、「熊本市役所熊本県警・熊本市教委が合同で来校 その依頼とは…(前編)」と題して、市役所・県警・市教委の皆さんが来校され、高校生にも自転車乗車時にヘルメットの着用を促す取り組みについてご相談があったことをお話ししました。今日のブログは、その続きです。

令和5年の4月に施行される「道路交通法の改正」で、「自転車乗車時のヘルメット着用」が努力義務となり、令和4年10月に施行される「熊本市自転車条例の改正」では、「学校(大学、専修学校及び各種学校を除く)の長の責務」として、「市が実施する自転車安全利用促進施策に協力するように努めるものとする」とされています。

つまり、小中高校の校長に、「児童生徒に自転車乗車中のヘルメット着用」を促す「努力義務」が課せられたことになります。

来校された市役所の方が説明された中で、特に高校生に対して何らかの取り組みを始めたいと言われた理由が二つありました。

一つ目は、高校生は自転車の「ヘビーユーザー」であること。

二つ目は、自転車乗車中の死傷者数をみると16歳(高校1年生)が圧倒的に多いことです。確かにグラフをみると16歳のところだけが突出しています。

取組の必要性は十分理解できます。

ただ、そこには「高いハードル」があります。

それは、「小中学校までは、ヘルメットをかぶらなくてはならないけど、高校生からはかぶらないで良い」という世の中の認識です。

しかし、この点についても、県警が熊本市内の県立、市立、私立の高校1年生を対象にしたアンケートによると意外な結果が出ていました。

「自転車用のヘルメットは着用すべきですか?」という問いに対して、53.7%の生徒が「はい」と回答しており、「いいえ」の44.0%を上回っているのです。

全体の過半数の生徒たちは、「ヘルメットを着用すべき」と思っているわけです。

そこで、「いいえ」と答えた生徒に「ヘルメットを着用しない理由はなぜですか?(複数回答)」と問うと、「規則(法律や校則等)で義務となっていないから」が52.2%で一番多く、次いで「面倒くさいから(47.4%)」、「荷物になるから(42.7%)」、「みんなが着用していないから(40.1%)」という結果になっていました。

この結果だけをみると、「それなら、法律の改正を受けて校則に定めれば良いのでないか」と思われますが、ことはそう簡単ではありません。

校則の制定は「学校長が定める」とされており、すべての高校が足並みをそろえて「校則にヘルメットの着用義務を定める」ということはあり得ないからです。

過半数の生徒が必要性を感じているとは言え、ほぼ半数の生徒が「かぶる必要はない」と考え、そのうちの4割の生徒は「面倒くさい」と言っています。また、「髪型が乱れる」、「かっこ悪い」という回答をした生徒も3割程度います。

つまり、これらの生徒にとっては「校則にヘルメット着用義務がある」ということが、「進学先として、その学校を選ばない理由」に成りえるわけです。

千原台高校もここ数年「倍率の低下」に苦しみ続け、ようやく今年度入学生が5年ぶりに定員を満たしたばかりです。その努力に水を差すようなことはしたくないという本音もあります。

また、「校則の見直しは、教職員だけでなく、生徒、保護者の意見を十分に取り入れて行うこと」となっており、校長のトップダウンで「ヘルメット着用義務」を制定することも出来ません。

これらのことも十分に踏まえての取り組みの内容を提案していただきました。

その中身については、次の(後編)でお話ししますね。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。