YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

シリーズ「校長の仕事」 ~卒業式編~

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

3月1日㈬、私が校長を務める千原台高校では、「熊本市千原台高等学校令和4年度第23回卒業証書授与式」を挙行し、無事に189名の卒業生を送り出すことが出来ました。

今日のブログでは、「シリーズ『校長の仕事』~卒業式編~」と題し、卒業式での校長の仕事についてお話しします。

まずは、今年の千原台高校卒業式「式次第」をご紹介します。

式次第

一、開式の辞

一、卒業証書授与

一、学校長式辞

一、祝辞

一、祝詞・祝電披露

一、在校生代表送辞

一、卒業生代表答辞

一、閉会の辞

式後の行事

・ 記念品贈呈

・ 卒業生保護者謝辞

・ 学年主任挨拶

となっています。この中で、校長が壇上に上がる場面が4回あります。どの場面だと思いますか?

それは、「卒業証書授与」「学校長式辞」「卒業生代表答辞」「記念品贈呈」の4回です。

「卒業証書授与」については、中学校の校長をしていた頃は、すべての卒業生に直接授与していたのですが、高校ではクラスの代表に手渡す形で授与されます。

何と言っても最大の緊張の中で行うのが「学校長式辞」です。

今日は、このあと、今年の卒業式で私が読み上げた「学校長式辞」の全文をご公開しますので、よろしくお付き合いください。 

式辞

 早春の光り輝くこの佳き日に、熊本市千原台高等学校第二十三回卒業証書授与式を盛大に挙行できますことを心より感謝申し上げます。今年度も昨年度と同様に、新型コロナウイルス感染防止対策のために、ほとんどの在校生や来賓の皆様の参加は得られませんが、このように多くの保護者の皆様にご参会いただきましたことに心より感謝申し上げます。

 ただ今、普通科72名、情報科117名、計189名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。

 三年間の蛍雪の功(けいせつのこう)成って、本日を迎えられた189名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 三年前、これから始まる千原台高校での三年間に夢を膨らませ、胸を弾ませて迎えるはずだった皆さんの入学式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「全国一斉休校」期間中だったために中止となり、この体育館には保護者の方だけに入場いただいて「保護者説明会」を行うというこれまでに経験したことのない形での高校生活のスタートとなりました。

 私が千原台高校の校長に着任したのも皆さんが千原台高校に入学したのと同じ年の四月のことで、私にとっても長い教師生活の中で一度も経験したことがない異例のスタートでした。

 そんな中で、

「一生懸命はカッコイイ」を実践する学校づくり

という教育目標を掲げ、新年度のスタートを切りましたが、皆さんと新しい出会いが出来るはずの四月、五月は新型コロナウイルス感染防止のための休校が続き、大きな思い出となるはずの体育大会、全国高校総体、甲子園大会等々…ほとんどの行事が中止になってしまいました。そして、ようやく皆さんが学校生活のスタートを切ったのは、六月一日のことでした。その間に皆さんに会えるのは、時々の登校日と遠隔授業の日のオンライン健康観察という本当に寂しい毎日が過ぎていきました。

ここから始まった皆さんの高校生活は、まさに「ウィズコロナ」を強いられた三年間でした。

 皆さんには、様々な「犠牲」や「我慢」を強いることになってしまったのですが、その中でも「修学旅行を実施できなかった」ということは、まさに「痛恨の極み」であります。当時は、感染拡大の状況を鑑みて、断腸の思いで下した決断でしたが、近隣の高校では実施できた高校もあり、このような結果になってしまったことを心よりお詫び申し上げます。卒業生の皆さんごめんなさい。

 このように様々な制約をうける高校生活でしたが、皆さんは、その厳しい状況に負けることなく、様々な場面で多くの輝きをみせてくれました。

 最上級生として臨んだ4月の体育大会では、各団の団員をリードする皆さんの姿に、まさに「一生懸命はカッコイイ」を体現してくれていると感じました。

 12月に3年ぶりに開催した千原台マーケットでは、販売場所を新市街のアーケード街に移し、街行く人たちに元気に声をかけて販売をする皆さんの姿に頼もしさを感じました。

 これから大学、専門学校、職場など新しい世界に飛び立つみなさんに最後に一つの言葉を送ります。

「艱難辛苦 汝 玉とす」(かんなんしんく なんじ ぎょくとす)

という言葉です。

 「艱難辛苦」という言葉には「ひどくつらい目や困難な目にあって苦しむこと」という意味があり、「玉」という言葉は、人間的に成長した人の姿を現しています。

つまり、この言葉には「多くの苦難を乗り越えてこそ立派な人間になる」という意味があるのです。

 皆さんにとって、この三年間の「コロナ禍」は、まさに「艱難辛苦」だったことだと思います。しかし、だからこそ皆さんには、ほかの世代にはない力がついているはずです。

 その力とは、「レジリエンス」という力です。

 現在は、ウィズコロナの時代。これからの未来は「予測不能の社会」とも言われています。そのような社会を生き抜いていくためには、様々なことにチャレンジし、「トライ&エラー」の中から何かを学んでいくことが求められます。

 そこで、必要になる力の一つが「レジリエンス」です。「レジリエンス」を日本語訳すると「回復力」「弾性(しなやかさ)」となります。この3年間で様々な「艱難辛苦」を経験した皆さんには、この「レジリエンス」が備わっています。

 新しいステージでも当然つらいこともあると思います。そんな時こそ、「レジリエンス」を発揮して、乗り越えていってください。

 最後になりましたが、保護者の皆様に一言お礼を申し上げます。

 本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。本日の卒業生の凛々しく、逞しく成長した姿に感慨もひとしおではないかと思います。   

「一生懸命はカッコイイ」を合言葉にすべての生徒たちの人格の形成を目指し、全職員一丸となって日夜教育に励んで参りましたが、何かと行き届かなかった点をお詫び申し上げます。

 最後に、卒業生の皆さん。この千原台高校で「一生懸命はカッコイイ」の精神の元に培った自らの心に自信と誇りを持ち、新しい世界へと羽ばたいてください。

 卒業おめでとう。

令和五年三月一日

    熊本市千原台高等学校長

          南 弘一

今日(3月3日)は、熊本市内の多くの中学校で卒業式が行われます。

そこでも、また多くの学校長が自分の思いをつめた「式辞」を読み上げることだと思います。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。