YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

高校の新科目「歴史総合」をご存知ですか?(その1)

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

5月10日から12日にかけてのブログで「『公共』という科目をご存知ですか?」というタイトルで高校社会科の新科目「公共」についてお話ししました。

令和4年度からの新学習指導要領の完全実施に伴い、高校生が必履修科目として学ぶことになっている新科目は、じつは他にもあります。

その一つが、「歴史総合」です。

これまでの学習指導要領では、「世界史」と「現代社会」を必履修科目としていたのですが、新しい学習指導要領では、「公共」、「歴史総合」、「地理総合」が必履修の新科目となっているのです。

今日のブログでは、「歴史総合」という新科目についてお話ししますね。

まずは、教科書(高等学校 歴史総合:第一学習社)の目次を示します。

第1部 歴史の扉

 ① 歴史と私たち

 ② 歴史の特質と資料

第2部 近現代の世界と日本

 第1章 近代化と私たち

  第1節 18世紀のアジアの繁栄

  第2節 産業革命と市民革命

  第3節 イギリスの繁栄と国民国家の基本

  第4節 アジア諸国の変貌と日本の開国

  第5節 帝国主義の発展

 第2章 国際秩序の変化や大衆化と私たち

  第1節 第一次世界大戦大衆社会

  第2節 経済危機と第二次世界大戦

  第3節 第二次世界大戦の戦後処理と新たな国際秩序の形成

 第3章 グローバル化と私たち

  第1節 冷戦と脱植民地化・第三世界の台頭

  第2節 国際秩序の変容と21世紀の世界

となっています。

この目次をみて、お気づきになりましたか?

そうです。この「歴史総合」では、18世紀の歴史からしか取り上げていないのです。

新学習指導要領では、「歴史総合」の目標を次のように定めています。

近現代史における「世界とその中の日本」を広く相互的に捉えながら、

①歴史を理解する力

②歴史に関する様々な情報を適切に調べてまとめる力

③歴史事象の意味や特色について多面的・多角的に考察して、説明・議論できる力

近現代史の事象についてよりよい社会の実現のために探究する態度

⑤日本国民としての自覚・自国の歴史への愛情・他国や他国の文化を尊重することの大切さの自覚

などの資質・能力を育成すること。

今回、教科書を通読をしてみて、まさにこのような目的のために編纂された教科書であることを実感しました。

この「歴史総合」の誕生により、これまでの日本の「歴史学習」の二つのことが大きく変わる可能性があります。

一つ目は、世界で起きた出来事がどのように日本の歴史に影響を与えていたかを学ぶことが出来るということです。

これまでの高校生は「日本史」と「世界史」を別々に学んでいました。もちろん私もその一人です。(と言っても高校時代はもう40年も前になりますが…)

ですから、校長になってからはじめた「読書生活」の中で、これまでに読んで来た様々な本に出てくる「世界の歴史」について考える際に、いつも私の頭の中では、

「これは18世紀のことだから、日本は江戸時代かあ…」

という風に一度「世界史」と「日本史」を並べてみて思考する癖がついています。

ところが、この教科書を通読すると、世界の出来事がどう日本に影響していたかが記されていて、「世界史」と「日本史」を一体化して理解することが出来ました。

もう一つは、「歴史用語の暗記学習」から「歴史について思考する資質・能力の育成」へのシフトチェンジの可能性です。

少し難しい言葉を使うと「『教授内容重視(コンテンツ・ベース)』から『資質・能力重視(コンピテンシー・ベース)』への転換」ということになります。

これが達成されれば、日本の高校教育にとって大きな転換点となることは間違いありません。

今日のブログは、ここまでです。

次回の(その2)では、教科書の中身についてお話ししていきます。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。