YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

木村、冨田ワンツーフィニッシュ! 二人のスイマーにみる真の友情

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。ととに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

さて、毎日のように私たちに感動を届けてくれる東京パラリンピックもいよいよ大詰めに近づいてきました。

昨日も、ベテラン浦田理恵選手(熊本県南関町出身)がチームを引っ張る女子ゴールボール代表の銅メダル獲得。「50歳の金メダリスト」として我々「50代の星」となった杉浦桂子選手の自転車女子ロードレースでの二つ目の金メダル。男子車いすバスケットボール日本代表の初の決勝進出などなど数多くの感動シーンを目にすることが出来ました。

そんな中でも、私の心に最も大きな感動を届けてくれたのは、水泳男子100mバタフライでの木村選手、冨田選手の「ワンツーフィニッシュ」の瞬間でした。

富田宇宙選手については、以前のブログでもお話ししましたが、私と同じ熊本市の出身であり、私が卒業した高校の後輩でもあります。(と言っても年齢的には彼の方が25歳も後輩ですが…)そして、私がかつて校長を勤めた西原中学校の卒業生でもあります。

そんな親近感から、この大会の中でも一番注目してきた選手です。

彼が視力に異常を感じたのは、高校2年生の頃。そこから、少しずつ視力は失われていき、今はほぼ全盲の状態。そんな彼にとっては、この大会が初のパラリンピック出場です。

かたや木村敬一選手。こちらは、2歳にして全盲になり、もの心ついた時から何も見えない世界で生活を送り続けてきました。

そんな二人を出会わせてくれたのが「パラ水泳」でした。同じクラスの同じ種目で頂点を目指す「良きライバル」「良き友人」として、二人は「個人合宿」をともに行うなどしながらその関係を深めてきました。

年齢は富田選手が2歳年上ですが、前回のリオパラリンピックで、すでに4つのメダルを手にしていた木村選手の方が、「パラ水泳」では先に実績を残しており、相撲界風にいうと木村選手は、冨田選手にとって「兄弟子」的な存在です。

そんな富田選手が、かつてこのようなことを言ったことがあったそうです。

「自分も金メダルを目指しているけど、本音を言うと木村選手に金メダルを獲ってほしい。そこで、自分も2位となり二人で表彰台に乗れたら最高だと思う。」

16歳までは健常者として「見える世界」で生きてきた富田選手。小学生の頃から水泳をしていた彼は、過去に自分の泳ぐ姿をみたことがあります。

対して木村選手は、2歳から全盲。つまり、自分の泳ぐ姿をみたことがないわけです。その中で「パラ水泳メダリスト」となっている木村選手のことを心からリスペクトしているからこそ出た富田選手の言葉だったと思います。

それを聞いた木村選手は、こう答えています。

「俺は、本気で金メダルを目指さない選手とは一緒に泳ぎたくない。」

本気で富田選手に対して怒りを表したのです。

こんなやりとりに、二人の間にある「真の友情」と「ライバル関係」の深さを感じます。

その後は、「本気で木村選手に勝つ!」という気持ちでトレーニングに励んだと冨田選手は言います。

そして、迎えた昨日の男子100mバタフライ決勝。結果は、1位でフィニッシュした木村選手にわずか1秒差の2位で富田選手がフィニッシュ。木村選手は念願の「金メダル」。富田選手も今大会3つ目のメダルとなる「銀メダル」を手にしました。

かつて木村選手はこんなことも語っていました。

「銀メダルや銅メダルをとって表彰台に上っても、全盲の私には掲げられている日の丸は見えません。私が『メダルをとった』と実感出来るのは、金メダルを手にして表彰台で君が代を聴けたときだけなのです。」

表彰台の真ん中で金メダルを首にかけて君が代を聴く木村選手の姿に胸が熱くなりました。

「次のパリ大会では、木村選手に勝って自分が金メダルをとる」

冨田選手は、きっとこう心に誓っているはずです。

今後もこの二人の「ライバル関係」と「真の友情」に注目していきたいと思います。

そして、こんな関係が生まれるような教育を千原台高校でも出来たら最高だと感じた一日でした。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。素敵な土曜日をお過ごしください。