どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
昨日は、二つのサッカー日本代表がともに大切な試合を戦いました。ブラインドサッカー日本代表とフル代表「森保ジャパン」です。
今日は、この2つの代表の試合を振り返り、そこで感じたことをお話しします。
まず、先に試合をしたのはブライインドサッカー日本代表。パラリンピックの5.6位決定戦でスペインと戦いました。
スペインは、世界ランク3位で、ヨーロッパ王者。日本にとっては格上の相手と言えます。
日本は、立ち上がりからスペインの攻撃に押し込まれますが、懸命の守備で何とかピンチを防ぐ展開となりました。
そんな中で迎えた前半終了間際。コーナーキックからキャプテン川村怜選手がゴール前に浮き球のクロスを送ります。そこに走りこんだのは、エースストライカーの黒田智成選手(熊本県八代市出身)。右足で放ったダイレクトシュートが見事にスペインゴールに突き刺さりました。
「視覚情報」のない中でプレーするブラインドサッカーの選手たちは、ボールの中に入っている鈴の音を頼りにボールの位置を感じながらプレーします。そんな彼らにとって「浮き球に合わせる」というプレーは、最高に難易度の高いプレーです。なぜならば、ボールが地面に転がるときには鈴の音がしますが、「浮き球」では鈴の音がしないからです。
そんな中で生まれた黒田選手のゴールは、まさに「奇跡のゴール」です。
2002年にブラインドサッカー日本代表が立ち上がるとともにチームの一員となり、20年近く日本代表としてプレーしてきた黒田選手。試合後のインタビューで次のように語っていました。
「ブラインドサッカーの大きな魅力として、本当にたまに、自分でもびっくりするような奇跡のような瞬間に出会えることがあるんです。この最高の舞台でみんなの気持ちが一つになって奇跡のようなシュートが決まって最高に嬉しいです。」
私には、このゴールは、長年にわたり日本のブラインドサッカーをけん引してきた黒田選手への「サッカーの神様からのプレゼント」だったように思えます。
初めてのパラリンピックで5位という素晴らしい成績を残し、私たちに数々の感動を届けてくれたブラインドサッカー日本代表。心からの拍手を送るとともにこれからの更なる活躍に注目していきたいと思います。
かたや、ワールドカップ最終予選の初戦でオマーンと対戦したフル代表「森保ジャパン」。
こちらは、予想に反して前半から積極的に攻撃を仕掛けてきたオマーンにゴールに迫られる立ち上がりとなりました。そんな中での前半28分、DF吉田から受けたロングボールをMF伊東がシュート。しかし、相手GKの正面をつき、ゴールとはなりませんでした。
前半を0-0で終えた日本は、後半のスタートからMF原口に代えて、FW古橋を投入し反撃に転じます。しかし、オマーンも攻撃の手を緩めず、後半6分、日本の左サイドからペナ内に入り、中央へパス。そのボールがDF長友の手に当たり、PKの判定。しかし、VARで判定が覆り、何とか難を逃れました。
この後、MF堂安、MF久保と次々に交代カードを切り、ゴールを奪いに行きました。しかし、後半43分、逆にオマーンにゴールを奪われ0-1で敗戦。ワールドカップ最終予選は「黒星発進」となってしまいました。
とは言え、6チームの2回戦総当たりで争うリーグ戦。残りは9試合あります。必ず、チームを立て直して次の試合に臨んでくれることを信じましょう。
この試合の敗因は、「良い準備」の差だったと思います。
この試合のために1か月間の合宿を組んで臨んできたオマーンに対して日本が集まったのは数日前。先日までオリンピック代表として活動していた選手も数多く含まれていて、いわゆる「チーム練習」がほとんど出来ない中でのゲームでした。
しかしながら、メンバーの多くがヨーロッパでプレーする今の日本代表にとって、この状況は最終予選が終わるまでずっと続きます。この状況を跳ねのけるだけの「地力」が求められているわけです。
次の中国戦は、まさに背水の陣。今度こそ「最高の準備」で試合に臨んでほしいと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週末まであと一日となった金曜日。素敵な一日をお過ごしください。