どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
12月5日(日本時間6日午前0時)に行われたサッカーW杯決勝トーナメント1回戦、日本対クロアチア戦は、ご存じの通り延長戦を終えても1-1と勝負がつかず、PK戦へ。日本は3選手のキックがクロアチアのGKに防がれ1-3で惜敗。目標にしていた「ベスト8」を目前にして大会を去ることになりました。
試合の振返りについては、ほとんどの読者の皆さんがご存じのことだと思いますので、ここでは割愛し、日本代表の選手たち、監督他スタッフの大健闘に最大の感謝の気持ちを捧げつつ、あえて、この試合の敗因と今後の課題を考えてみたいと思います。
まずは、直接勝負を分けることになった「PK戦」についてです。
「PK戦」については、「PK戦は『運』である」という考えと「PK戦は『運』ではない」という2つの考えがあります。
私は、後者の考えに賛同します。
「運」だけでなければ、その他の要素は何のか?
これは3つあります。「技術」と「メンタル」、そして「分析」です。
まず、「技術」。これは「キックの技術です。」
スペイン代表のルイス・エンリケ監督は、この「PK戦でのキックの技術」を高めるために、スペイン代表の選手たちに「W杯までに所属クラブで最低1000本以上蹴るように」と指示していました。(それでも、スペインもPK戦で敗退しましたが…)
日本の選手たちの「PK戦でのキックの技術」は、まだ「世界レベル」に達しているとは言えません。
「メンタル」と「分析」は関連していますので、一緒に述べます。
今回のクロアチアとのPK戦で「メンタル」で優位に立っていたは、明らかにクロアチアだったと感じます。
その一つ目の理由は、「W杯での成功体験」です。前回大会でクロアチアは、決勝トーナメントで3連勝し、決勝戦へと勝ち進んだわけですが、そのうちの2勝が「PK勝ち」です。
そして、その「PK勝ち」を経験している選手が今回も、8人メンバー入りしていました。
このことは、チーム全体に「PKに持ち込めば勝てる」という絶対的なメンタルの優位性をもたらします。
二つ目は「分析」とそれに基づく「計画性」の差です。
PK戦では、「先攻有利」とされています。その理由は、先にゴールを決めていけば常に相手のキッカーに精神的なプレッシャーがかかり続けるからです。
「先攻」と「後攻」の勝利の確率は「6対4」という研究結果もあります。
この試合では、日本が「先攻」だったけれど、勝てませんでした。
やはり、1人目のキッカーが決められなかったことは大きく影響したと言わざるを得ません。(決して南野選手を責めているわけではありません。)
私の「持論」として、その一番目のキッカーより、さらに重要だと思うキッカーがいます。それは「4番目のキッカー」です。
選手、監督、そして解説者として数多くのPK戦を分析した中で、多くのPK戦で「4番目のキッカー」が勝負を分けます。
今回の日本は、その「4番目のキッカー」も相手のGKに阻止されてしまい、これで「決定的な不利」が確定しました。(これも吉田選手を責めているわけではありません。)
以上の理由から、私は監督時代には、必ず試合前にPK戦のキッカーは、その順番を含めて決めるておくようにしていました。
その時に「技術」、「メンタル」の両面で最も信頼度の高い選手を「4番目」に。次に高い選手を「1番目」に起用しました。(ちなみに、その次は「5番目」です。)
今回のPK戦で、森保監督は、その場で蹴りたい選手を募って決めたそうです。
ここまで、様々な面で「良い準備」を重ねてきていた日本代表だっただけに、PK戦についても「分析」とそれに基づく「良い準備」があれば、いくぶんかは「メンタル面での余裕」が出来たのではないかと考えます。
今日は「PK戦」についてのみの解説となりましたので、(後編)では「延長戦まで含めての120分間の戦い」について、分析します。
ちなみに、試合の振返りはYouTubeチャンネルで公開していますので、こちらをご覧いただけると嬉しいです。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。