どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
それと、あと一つしていることがあります。それは「LGBT教育研究者」としての講演活動です。
(なぜ、私がこのような活動を始めたかについては、2021年5月20日のブログ「LGBTs人権課題と私 その出会い」に詳述していますので、そちらをお読みください。)
というわけで、昨日(7月1日)は、熊本市にある中学校へ講師としてお招きいただき「LGBTs人権課題についての学校での取り組み」というタイトルでお話をしてきました。
今日は、その内容についてお話しします。
私の講演活動の対象は、大きく3つの層の方です。
一つは、小中高校の先生方。二つ目は、中学校、高校の生徒の皆さん。そして、もう一つは、PTAや地域の自治会などが主催される地域住民の方々への講演です。
昨日は、中学校の先生方約60名を対象にした「職員研修」にお招きいただきました。
そこで、まずお伝えしたのは、「なぜ、学校でLGBTに関する教育を行うべきなのか?」ということです。
皆さんは、どう思われますか?
それは、正しい知識を伝えることにより、安心出来たり、悩み続けている毎日から少しでも救われるという生徒たちがいるからです。
最新の統計によると、LGBTをはじめとする性的マイノリティーの当事者の数は、8~10%だと言われています。その割合は、日本人の中の「左利きの人」や「血液型がAB型の人」とほぼ同じです。
ですから、中高校生の皆さんから講演後の感想をいただくと
「私は、自分の性について悩んでいました。しかし、先生のお話を聞いて、悩まなくていいんだ。このままの私でいいんだと思うことが出来ました。ありがとうございました。」
という内容の感想が必ずよせられます。
そのような生徒たちと日々接している先生方への研修で、私がお伝えしていることは、次の二つです。
① 「ソジハラスメント(ソジハラ)」はダメ。
② 「アウティング」はダメ。
もし、これを聞いて、読者の皆さんに「そんなの当たり前じゃん。」と思っていただき、「ソジハラ」「アウティング」について十分ご理解いただけていれば、こんなにうれしいことはありません。
しかし、様々な学校にお招きいただきますが「うん?」「それって何なの?」というのが、大半の先生方の反応です。
まず、「ソジハラ」についてです。「ソジ=SOGI]で、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identety)の頭文字をとった言葉です。性的指向とは、簡単に言うと「自分の恋愛対象はどんな性であるか?」ということで、性自認とは「自分の心の性は、どの性か?」ということです。性的指向が同性である人たちを「同性愛者」といい、そのうち生物学的性が女性の人を「レズビアン」、男性の人を「ゲイ」と呼びます。性的指向が両方の性である人を「バイセクシャル」と呼びます。そして、性自認と生物学的性が一致していない人たちを「トランスジェンダー」と呼びます。この頭文字から出来た言葉が「LGBT」です。
ただ、性的マイノリティーの方々には、他にも「Xジェンダー(性自認が女性でも男性でもない人たち)」や「Asexual(性的指向がない人たち)」など様々な性の人たちがおられます。そのために私は、「LGBT」の後に「s」をつけるようにしています。
よく「LGBTQ」という言い方もしますね。この「Q]は「Quia」「Questoning」という意味で、私が使う「s」と同じ用途です。
このような人たちへの「ハラスメント」は現代社会では、してはいけない行為とされています。論拠は、令和元年6月に公布された「改正労働施策総合推進法(ハラスメント防止法)」によります。(講演では例をあげて詳しく説明しますがここでは詳述は避けます)
あと一つお伝えしているのが、「アウティング」についてです。
「アウティング」とは、「相手の同意を得ない秘密の暴露」という意味です。
このことが、大きく取り上げられるようになったきっかけは、2015年に起きた「一橋大学アウティング事件」でした。同性に告白したゲイの男性が、そのことをSNSに暴露され、それを苦にして投身し、命を落としてしまったのです。
しかし、中高生のSNSの現状をみると、「SOGIに」関わることでなくとも、ちょっとしたことでの「アウティング」は日常的に行われています。そのような日常が、命にかかわることもあるということを伝えるようにしています。
今月もあと2回の講演が予定されています。私なりに精一杯伝えていきたいと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週末目前の金曜日、素敵な一日をお過ごしください。