どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
昨日、「熊本市立高校・専門学校改革意見交換会」が行われました。
熊本市の教育委員であり、哲学者・熊本大学教育学部准教授の苫野一徳氏がファシリーテーター役を務め、本校の新旧生徒会役員8名が高校改革についての意見を出し合いました。
今日はそのことについてお話しします。
まず、この会が行われた背景を説明します。
現在、熊本市教育委員会では「熊本市立高校・専門学校改革」を進めているということは、これまでもこのブログでお話しして来ました。
この改革は、3年前にスタートし、その後、教育委員会の事務局と学校が一体となり、有識者の皆さんの意見を参考にしたりしながら進めてきています。
千原台高校では、新しい「教育課程(どんな教科を週に何時間学習するか)」も決まり、先日の「熊本市議会教育市民委員会」で承認を受け、令和5年度に新たな体制で再スタートを切ることになっています。
ただ、すべてがスムーズに進んでいるわけではありません。もう一つの熊本市立高校である必由館高校では、改革に伴う生徒数の減少(少人数学級の実施と付属中学校の創設に伴う)があまりにも規模が大きく、学校の活力が失われるのではないかという懸念のもと、生徒会を中心に反対の声が上がりました。
「熊本市教育員会会議」でそのことを検討する中で
「現在、学校に通っている生徒たちに改革の意図などを知ってもらう必要がある。」
という意見が出され、今回の「意見交換会」が開催されました。
「意見交換会」は、リモートでの開催でしたが、本校の8名の参加者は広めの教室に集まってそれぞれの端末から参加しました。
その部屋には、地元のテレビ局4社と新聞社1社が詰めかけ、4台の撮影用カメラに囲まれた生徒たちは、さすがに緊張気味。
そんな中で、まず、はじめに教育員会事務局が作成した「これまでの改革の経緯」をまとめた映像を15分ほど視聴しました。
そこまでは、総合ビジネス専門学校の皆さんも一緒に参加し(必由館高校では9月21日に同じ会が行われます)、そのあとは、ZOOMのブレイクアウト機能を使って3つのグループに分かれて意見交換を行いました。
千原台高校の生徒たちはAグループ。ファシリテーターは苫野氏です。
まず、簡単な自己紹介から入り、そのあと苫野氏から
「まずは、先ほどの映像をみての感想から聞かせてください。」
と言われ、一人ずつ指名を受けて感想を答えました。
映像では、現在の「日本の高校生の実態」や「『探求の時間』の充実を図って成功した先進校の取り組み」などが紹介されていたので、それらに関する感想が多く出されました。
その後、質問は、
「千原台高校の良いところは?」
「改革後もここは、残してほしいというところは?」
「何か困っていることはないか?」
「何か改革として、こういうことをしたいというアイデアは?」
などと続いていき、それぞれのテーマに対しての生徒の意見が出されました。
「千原台の良いところは、部活動が充実しているところです。」
「地域に愛される学校になっていて、ボランティア活動などにもさかんに取り組んでいるところです。」
「国際経済コースがなくなってしまうんですが、高校時代にアメリカに留学できる制度や英語を学ぶ機会が多いというのは、千原台の良いところなのでそこは残してほしいです。」
「私は2年生なのですが、周りの友達の中では『改革と言っても私たちが卒業したあとの話だよね』という感じもあって、今一つ関心が高まりません。」
「やってみたいことは、今、千原台高校には『購買部(売店)』がないので、自分たちで立ち上げて経営してみたいです。簿記の資格を取得している生徒もたくさんいるので、その資格を実際に活かしていけば出来ると思います。」
などそれぞれの立場から彼らにしか出来ない発想の意見が出され、感動しました。
会が終了したあと、私からは次のような話をしました。
「まずは、今日の会に参加してくれたこと。そして、素晴らしい意見の数々を出してくれたこと。ありがとう。感動しました。」
「そして、意見の中にあった『改革と言っても自分たちが卒業したあとのことだから…』というのは、確かにその通りだし、気持ちは分かります。」
「ただ、二つ伝えてほしいことがあります。一つは、皆さんが出してくれたアイデアで実現できそうなものは、改革の年まで待つのではなく、今年からでも来年からでもどんどん実行に移していくということです。もう一つは、もし、皆さんの卒業までに実現できないことがあったとしても『あれは、自分たちが発案して実現したことだ』という誇りを卒業後も持つことが出来るということです。ぜひ、この二つをまわりの皆さんにも伝えていってください。」
「『購買部(売店)』を作りたいというのは、素晴らしいアイデアだと思います。実は、先生方からも生徒に何かのビジネスを行わせるために、空き店舗を借りるような予算がとれないかという意見は出ていました。ただ。それを君たち自身が『やりたい!』と思ってくれていることに感動しました。ぜひ、これから動き始めてください。」
このように生徒たちが自らの頭で考え、行動を起こしてくれること、本当に嬉しく思います。これからも全力でサポートしていきます。
なお、この模様は今日(9月17日)のお昼12時15分からのNHKニュース熊本版で流れる予定です。そちらも観ていただけると嬉しいです。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週末前の金曜日。素敵な一日をお過ごしください。