どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。それと、あと一つ、LGBT教育アドバイザーとしても活動しています。
「LGBTQ+ユースカンファレンスに参加して… 新たな学び」シリーズも、今日で第3話となります。
昨日のブルグでは、「メインセッション① 全国の学校・教育現場の今」に一緒に登壇した朝日新聞の山下知子さんと福岡県の中学校で養護教諭をされている角沖悠花さんの発表についてお話ししました。
登壇者の最後の発表は、私の発表でした。
まずは、写真を使って自己紹介。
千原台高校の写真で高校の概要を紹介し、その後、10年前、京陵中学校でサッカー部の監督をしている時の写真を使って、当時はサッカーの指導と生徒指導に心血を注いでいたことを紹介。最後にロアッソ戦のサッカー解説の写真で、今の生活の一部を紹介しました。
その後、「そんな私が、なぜ、LGBT教育に携わるようになり、講演・講話などを行っているのか?」
そこからお話ししていきました。
「出会い」。それは、今から7年前に行われた熊本市教頭人権研修会でした。そこで、初めて「LGBTQに関わる人権課題」について知り、学校での教育の必要性を感じました。
学校に戻ると早速、当時のALT(英語教育助手)をしていた外国人女性に次のような相談をしました。
「教頭研修でLGBT人権課題について勉強してきて、熊本市教委からも『学校現場で教育実践をしてほしい』と話があったんだけど、一緒にやらない?」
なぜなら、彼女がレズビアンであること。そして、LGBTについての理解を深める活動に参加していることを知っていたからです。
「ホントですか?嬉しいです!一緒にやらせてください!」
ということで、2人で彼女が持っていた英語のプレゼンを日本語に直すところから始めました。
そして、まずは職員への研修。その後、彼女のクリスマス休暇を経て、次は生徒への講話や授業と展開する予定を立てていました。
そんな年明けの1月4日。当時の校長先生から1本の電話がかかります。
「教頭先生、あまり良い知らせじゃないもんな。」
「何ですか?」
「実は、ALTの彼女がなくなったという知らせが入って…。どうやら、自ら命を絶ったらしい。」
「いやー。それは、何かの間違いですよ。LGBTのことを一緒にやろうとあんなに張り切っていたのに…」
私は、全くそのことを信じることが出来ませんでした。
しかし、やはりその通りの現実が待っていました。
「惜別」。この経験を経て、私は彼女の意志を引き継ぎ、LGBT人権課題について一人でも多くの人に理解してもらうように活動していく決意をしたのです。
次の4月、運よく、私は同じ中学校で教頭から校長へと昇任。4月から「LGBT教育を取り入れたい」ということを職員に話していきました。
ただ、そこに待っていたのが、職員からの「反対意見」と「不安の声」でした。
「反対意見」としては、「校長が話していることは、本当に科学的な根拠があるのか?」、「今、目の前にこのことについての訴えをしている生徒がいないのに、する必要があるのか?」、「目の前の課題で手いっぱいで、とてもそこまで手が回らない。」などといったものです。
これらに一つひとつ応える中で、ようやく「必要性は理解しました。」、「やりましょう。」となったのですが、次に出てきたのが…
「ただ、自分たちが授業をした後に、生徒から質問が出ても応える自信がありません…」という「不安の声」でした。
そこで、
「わかりました。では、まずは、私がやります。」
ということで、「学年ごとに集会を開いてください。そこで、『校長講話』として、このことを1時間、話します。それを受けて、1時間で良いので、各学年で授業を実施してください。」と提案をし、活動がスタートしました。
その後、この活動について知った熊本の小中高校から「職員研修」、「生徒講話」の依頼が入るようになり、その他「PTA」や「地域団体」などからの依頼もいただくようになって、現在に至っています。
この話の後に、「千原台高校では…」ということで、来年の4月から導入する新しい制服について紹介しました。
女子スラックスの導入は他校と同じですが、千原台がこだわったのは、上着の襟を「スタンドカラー」にしたことです。つまり、女子生徒用の制服の上着も「詰襟風のデザイン」になっています。
最後に、講話のあとの高校3年生の感想文を紹介しました。
この感想は、「今日の講話で、自分がバイセクシャル(両性愛者)であることを自覚出来ました。正しい知識が得られて良かったです。」という内容です。
なぜ、これを紹介したのか?
それは、多くの感想の中で数少ない「LGB(性的指向)」に関する感想だったからです。
最後に「遅れる『性的指向』への対応」というスライドを示して、学校現場の現状への問題提起をし、発表を終えました。
登壇者の発表が終わり、質疑応答の時間となります。
この続きは、次のブログでお話ししますね。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。