YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「公共」という科目をご存知ですか?(その3)

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

ここ2日間「『公共』という科目をご存知ですか?」というタイトルでお話ししてきました。

このペースで一つ一つの内容を細かくお伝えしていくと、途方もない時間を要してしまいますので、今日の(その3)では、残りの教科書の内容を概要だけご紹介し、最後に「公共」という科目についての私の考えを述べて、このシリーズを閉じたいと思います。

よろしくお付き合いください。

ここでもう一度、千原台高校で使っている教科書「高等学校 公共(第一学習社)」の目次を示します。

第1編 公共の扉

 第1章 公共的な空間をつくるわたしたち

 第2章 公共的な空間における人間としてのあり方、生き方

 第3章 公共的な空間における基本的原理

第2編 自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち

 第1章 法的な主体となる私たち

 第2章 政治的な主体となる私たち

 第3章 経済的な主体となる私たち

第3編 持続可能な社会づくりの主体となる私たち

となっています。

昨日のブログ(その2)では、第1編の第1章の内容までをお話ししました。

そこでは、「保健」、「哲学」、「宗教」、「伝統文化」などの分野での問いが建てられ、「先哲の教え」を紹介しながら、生徒たちが自ら学んでいくという内容が記されていました。

第2章については、そこに示されている「問い」をご紹介していきます。

①「社会の構成員の一人として生きていく際、個人が選択・判断するための手がかりとなる考え方には、どのようなものがあるのだろうか。」

②「環境保護に関して、合意を目指して提案される政策は、どのような考え方に基づくのだろうか。」

③「生命倫理に関して、合意をめざして提案される政策はどのような考え方に基づくのだろうか。」

④「『行為の結果である個人や社会全体の幸福を重視する考え方』、『行為の動機となる公正などの義務を重視する考え方』を唱えた先哲の思想は、どのようなものだろうか。」

⑤「古代ギリシャの思想家はどのような生き方を求めたのだろうか。また、中国思想や日本思想の人間観は、どのようなものだろうか。」

⑥「人間の尊厳とはどのようなものだろうか。また、差別や偏見はなぜ起こるのだろうか。そして、すべての人が平等に社会に参画するために、どのような取り組みがあるのだろうか。」

⑦「基本的人権の考え方は、どのように広まり、一人一人が個人として尊重されるために、国際社会ではどのような取り組みが行われているのだろうか。」

⑧「私たちの生活は、政治とどのような関係にあるのだろうか。また、民主的な国家は、どのような考え方を背景につくられてきたのだろうか。」

⑨「人の支配と法の支配の違いは、何だろうか。また、国民主権と権力分立は、どのような目的と内容を持つのだろうか。」

以上です。

いかがでしょうか?

どの「問い」も57年間生きてきた私が問われても簡単に答えられないものばかりです。

ただ、この第1編では、このような「問い」を建てつつ、その「答え」についてもある程度、教科書内に示されています。

そして、ここで身につけた基礎的な知識をもとにして、第2編での「主題学習」に進んでいきます。

その「主題」とは次の3つです。

①「人々が対等な関係にない場合、国家や法には、どのようなことが求められるのだろうか。」

②「民主政治を推進するために、私たちはどのような責任を果たすべきだろうか。」

③「公正で自由な経済活動のためには、何が必要なのだろうか。」

つまり、「司法」、「政治」、「経済」の各分野について考えていくわけです。

そして、最後の第3編では、「課題探究活動」を行います。

探究していく課題として次の5つが示されています。

①地球環境問題~排出量取引を考える

②資源・エネルギー~ベストミックスを考える

生命倫理~ゲノム編集を考える

④国際社会の課題~フェアトレードを考える

これらのいわゆる「現代の社会問題」について、生徒たちが自ら探究していきます。

以上が、「公共」という新しい科目の概要です。

昨日の(その2)までを読んでいただいた読者の方から、

「私にはよくわかりません。」

という率直なご感想をいただきました。

ごもっともだと思います。

高校の校長であり、このブログを書いている私も

「お前は『公共』という科目について、本当にわかっているのか?」

と問われると、恥ずかしながら、

「はい。一応は…」

と答えるのが精一杯というのが本音のところです。

ただ、今回、あらためて教科書を通読してみて、これからの社会を生きていく高校生が学ぶのにふさわしい科目であるということは強く感じました。

千原台高校の生徒たちが「公共」という新しい科目をしっかりと学んでいけるように私も先生方とともに学び続けたいと思います。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。