YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

ドラゴン桜 感動のラスト 熱い教え子との絆…

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

皆さんは、「ドラゴン桜」というドラマをご存じですか?ドラマをご覧になっていなかった読者のために簡単にあらすじをお話ししますね。

阿部寛が演じる桜木は、暴走族あがりの東大卒弁護士。ただ、世間離れした正義感のために仕事の依頼は少なく貧乏暮らし。そんな彼に依頼があったのが、経営に苦しんでいる私立高校の建て直し。そこで、彼は落ちこぼれを集めて「東大専科」を作り、東大に合格させます。これが、16年前に放映されたシーズン1。その続編が今回のドラマです。今回は、その当時の教え子で、東大を卒業し同じ弁護士となった長澤まさみ演じる水野が登場。桜木と水野が二人三脚で「東大専科」の生徒を東大合格に導くというあらすじです。

その最終回が、昨夜放映されました。結局「東大専科」に所属した7人のうち、5人が東大合格を果たし、合格出来なかった2人の生徒もそれぞれに人として大きく成長します。そのラストシーンは、桜木が「東大専科」の生徒たち、そして、元「東大専科」の教え子である水野に別れの言葉を述べる、いわゆる「最後のホームルーム」でした。

桜木は、水野に「お前のおかげで、俺も立ち直ることが出来た。ありがとう。」と感謝の言葉を述べます。私が一番感動したのは、このシーンでした。

さて、私も小学校で15年、中学校で18年、教師をしてきました。ですので、もちろん数多くの教え子がいます。今日は、その中の一人、コウ君(仮名)の話をします。

コウ君は、私が2校目に勤務した中学校でサッカー部の監督をしていた時の教え子です。当時、サッカー部の副キャプテンでGKをしていました。まさに「体育会系の熱血漢」でした。中学生と言えば、まわりの目を気にしてなかなか自分の考えを言えない年頃ですが、当時のコウ君は周りの目などお構いなし。「良くない」と思った行動に対しては、後輩はもちろんそれが同級生でも、自分の思いをがんがんストレートにぶつける。そんな生徒でした。

卒業を目前に控えたある日、隣のクラスの先生からこういう報告がありました。

「南先生、コウ君がけんかして暴力をふるったんです。相手の生徒もサッカー部の生徒ですので、先生の方からも厳しいご指導をお願いします。」

当時、私は生徒指導を担当していて、校内でも一番厳しい指導をする教師だと思われていました。しかし、その時は、事情を聴いてみると確かにコウ君が怒るのもわかるという状況であり、

「お前の気持ちはわかった。しかし、暴力はいかんぞ。わかるな?」

「はい。」

この一言で終わりました。

そんなコウ君も現在、25歳になりました。今は、船の一等航海士として働いています。

ほとんどの生徒が中学校を卒業後には、熊本市内の高校に進学する中で、彼が選んだ進路は、天草の水産高校でした。そこで、3年間の寮生活や海洋実習を経て、愛媛県にある国立の海上技術短期大学に進み、船乗りの道を歩みました。

そんな彼と私の絆が強まったのは、天草の高校時代、そして、愛媛の大学時代にも長期休暇のたびに、母校のサッカー部の「臨時コーチ」として私を手伝ってくれたことです。

彼の「臨時コーチ」としての手腕はすばらしく、多くの後輩たちに素晴らしい影響を与えてくれました。

そんな彼も昨年の夏に結婚をし、今は「一等航海士」として船に乗っています。「一等航海士」というのは、船の上の「中間管理職」です。船上のトップは、もちろん「船長」です。その「船長」からの指示を受け、実際の運航を取り仕切るのが「一等航海士」の仕事であり、学校でいうと「教頭」と同じような役割です。

そんな彼の悩みは、自分の父親以上の年齢の方もいる「船員」さんたちとどのように接していくかということです。

彼は、約3か月船に乗って陸に上がり1ケ月の休暇を過ごすという生活をしています。「ようやく3か月の航海が終わり、休暇に入りました。」

という連絡があったので、先日、オンライン飲み会をしました。はじめは、いつものように様々な話題を話しながら楽しく飲んでいたのですが、コウ君の口から次のような言葉が…

「実は、この前の航海の時に年上の船員さんに対して、強い言葉で注意してしましい、関係がうまくいかなくなってしまいました。」

「仕事をやめたいと思うくらい落ち込んでるんです。」

私も職場で「教頭」の役割を3年間経験しました。その時の年齢は40代でしたので、部下として年上の教師の皆さん方もたくさんいらっしゃる環境です。コウ君の立場の難しさも良く分かります。

「言葉遣いとか南先生は、教頭時代、どうされてましたか?今度、船員さんと会ったとき、どんな態度で接すれば良いと思いますか?」

と尋ねるコウ君。私は、こう答えました。

「言葉遣いは、海の上で命がかかる業務中なら厳しい言葉になることもあると思うよ。それより、大切なことは、まずその船員さんのこれまでの仕事ぶりをしっかりと思い出してみるといいよ。必ず、彼の仕事ぶりに助けられた場面やここはすごいなあーという部分が見つかるはず。それをなるべくたくさん見つけてから船に乗れば、問題はおのずと解決するはずだよ。」

人間関係の基盤は「承認」です。相手の良いところを見つける「宝探しの目」をしっかりと働かせて、相手のことを本当に承認して接すれば必ずうまくいきます。そして、彼ならそれが出来ると信じています。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。週の初めの月曜日、素敵な1日をお過ごしください。