どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
「前橋育英は強く、10回やって3回勝てるかどうか。しっかり守れたことが大きかった。」
大津高校サッカー部・山城監督の試合後の談話です。
第101回全国高校サッカー選手権大会で夏の王者・前橋育英(群馬)との激戦を制した大津高校の「勝因」は、この山城監督の言葉に現れていると思います。
それは、チーム全体が最後まで「挑戦者の気概」を持って戦い続けたということです。
今日は、この一戦を振り返ります。
大津の先発メンバーは、
GK 西
DF 坂本翼、野田、碇、田辺
MF 田原、井伊、坂本龍、香山
FW 山下、小林
4-4-2の布陣です。累積警告でこの試合に出られない浅野に代わって、MFのポジションには初戦で先発した井伊が入りました。井伊は初戦で足首を負傷し、2戦目はベンチ外だったのですが、この日は痛み止めを打っての「強行出場」でした。
対する前橋育英も4-4-2の布陣。大津と同じ布陣で、お互いが目の前の相手と対峙する形になります。
このような形をサッカー界では「ミラーフォーメーション」と呼んでいます。
「ミラーフォーメーション」となった影響もあり、試合は立ち上がりから「がっぷりよつ」に組んだような、五分五分の戦いとなりました。
大津が、ロングボールを交えて2トップにボールを収め、サイドへの展開を狙うと、対する前橋育英は、トライアングルをつくってしっかりとボールをつなぎ、2列目、3列目からの飛び出しを促して波状攻撃をしかけます。
前半は、前橋育英が5本、大津が4本のシュートを放ちますが、ともにゴールを奪えずに0-0で終了。
ハーフタイムの選手交代はなし。お互いに、内容には満足した前半だった証です。
後半も「がっぷりよつ」の展開が続きますが…
後半18分、前橋育英のキーププレーヤーの一人であるMF小池が、この日2枚目となるイエローカードを受けて退場となります。
このことにより、前橋育英の布陣は4-4-1に変わり、「ミラーフォーメーション」が崩れ、大津の両サイドDFが攻撃参加しやすくなりました。
後半28分には、大津の右サイドDF坂本翼のアーリークロスにFW山下がヘディングで合わせてシュート。先制ゴールかと思われましたが、これは前橋育英のGK雨野がビッグセーブで防ぎ、先制点を奪うことは出来ません。
前橋育英も少ない人数になりつつも、カウンター攻撃で大津のゴールを狙うも得点を奪うことが出来ず、後半も0-0で終了。
勝負の行方は、PK戦にもつれ込みました。
大津の1番目のキッカーは主将でエースストライカーの小林です。初戦の浜松開誠館とのPK戦では、失敗していましたが…
ここは、冷静に決めました。
大津は、その後、途中交代で入った3人を含む4人が連続してゴールを決めました。
対する前橋育英の2番目のシュートをGK西が見事にセーブし、トータル5-4で大津がPK戦を制しました。
試合を振り返ると、後半18分の相手の退場により数的優位に立った大津に1点を奪って欲しかったという見方もあると思います。
しかし、焦らず冷静に戦って「カウンターからの失点」をしなかったというところに大津の勝因があると私は感じました。
相手の退場により「数的優位」になりながら、前がかりにになり過ぎて失点するというのは、サッカーでは良く起こることです。そして、前橋育英はそれをやれるだけの力があったチームだからです。
次の準決勝の相手は、東山高校(京都)です。
東山は、「初のベスト4」ということで、「大津有利」との見方もありますが、私はこの試合でも「挑戦者の気概」を持ち続けて戦ってほしいと思います。
そうすれば、その先に2年連続の決勝戦が見えてくるはずです。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。