どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
「今度僕が進学する高校には、GKコーチがいません。週に1日でもいいので、南先生にGKコーチとして、来てもらうことは出来ませんか。」
今から17年前、当時、中学3年生だったあるGKからもらった電話です。
その電話をかけてきたのは、飛石孝行くん。当時、長崎の中学校のサッカー部に所属していて、彼がナショナルトレセン(ナショナルトレーニングセンターの略:全国から優秀な選手を集めてトレーニングするという企画。日本サッカー協会の育成の柱となっている。)の合宿に参加した際に、私もGKコーチとして参加しており、彼のトレーニングを担当していました。
そして、彼はこの電話の中で、次のようなことも言ってくれました。
「いろんなGKコーチの指導を受けさせてもらいましたが、僕にとっては南先生の指導が一番だったんです。」
彼はナショナルトレセンのメンバーですので、様々なGKコーチからの指導を受けていました。その顔触れは、「豪華」の一言。日本サッカー協会と契約しているコーチやJクラブのコーチ、元日本代表選手だったコーチや元Jリーガーだったコーチもいます。
そんな中で、指導した選手からこのような言葉を言ってもらい、私は涙が出そうになるくらい感激しました。
ただ、当時の私は熊本市の公立中学校の教員です。私が住んでいる熊本市から、彼が進学する高校がある長崎市までは、車で移動すると3時間半くらいかかります。
また、今でこそ教育委員会の許可を受けて「サッカー解説者」や「LGBT教育アドバイザー」という三刀流をやらせてもらっていますが、当時の私に「公立中学校の教員・サッカー部監督」と「長崎県の高校のGKコーチ」の二刀流というのは、実現不可能な相談でした。
「トビ(飛石くんのニックエーム)の気持ちは、本当に嬉しくて、そう言ってくれることはGKコーチ冥利に尽きるほど光栄なんだけど、今の状況では難しい。せっかく相談してくれたのにごめんな。」
こんな彼のことは、その後、GKコーチとして様々な活動をしていくことになる私の「心の原動力」となっていました。
その後、彼は長崎県の高校から大分県の「サッカー専門学校」に進学。そこを経て、「プロになる」という夢を持ちながら、JFL(J3の一つ下のリーグ:プロのチームと実業団のチームが混在している)のチームに入団。数年間はGKとして活躍しました。
しかし、選手として「Jリーガー」となることは、出来ずに「GKコーチ」としての道を歩み始め、2つのJクラブで「育成年代のGKコーチ」として活躍。日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチも経験し、現在は、兵庫県の芦屋大学で助教を務めながら、サッカー部のコーチをしています。
先週末、熊本県で「九州高校総体サッカー競技大会」が行われたので、この大会を視察に訪れれており、視察を終えて、昨日(6月19日)、千原台高校の校長室を訪ねてくれました。
さて、17年ぶりに再会した彼との会話は…。
それは、次の(後編)でお話ししますね。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。