どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
今日は、久しぶりに最近読んだ本の紹介です。よろしくお付き合いください。
今日紹介する1冊は…、
第78回直木賞受賞作品、万城目学(まきめ まなぶ)著 八月の御所グラウンド(文藝春秋)です。
この本を私が手に取った場所は、千原台高校の図書室でした。
千原台高校の図書室は豊富な蔵書を有しており、図書司書の先生の選書により、いわゆる「話題作」も取り揃えています。
この本を手に取った動機は、何と言っても「直木賞受賞作品」という「話題作」だったことでした。
この本には、表題作のほかにあと一編作品があり、その作品のタイトルは「十二月の都大路上下ル(かける)」というもの。
こちらの作品が先に掲載されています。
この作品の冒頭を読んだだけで、私は一気に「万城目(マキメ)ワールド」に引き込まれ、すぐに図書司書の先生に、
「これ、借ります!」
と本を差し出しました。
「十二月の都大路上下ル(かける)」の主人公は、高校1年生の坂東(さかとう)さん。全国高校女子駅伝大会に初出場するチームの1年生で、チームメイトからは「サカトゥー」と呼ばれています。
高校女子駅伝は、約20キロのコースを5区間に区切るコース設定がされていて、大会に出走するメンバーは5名です。
主人公のサカトゥーは、1年生ということもありメンバー外の補欠。気楽な感じで大会が行われる京都に入ったのですが…。
これ以上お話しすると「ネタバレ」になっちゃうので、あらすじの紹介はここまでにしておきますね。
読者のあなたもご存じの通り、千原台高校は女子駅伝の強豪校。ここ6年間で5回、全国大会に出場し、都大路の舞台に立っています。
私自身も着任4年目で、そのうち3回、京都の都大路を駆け抜ける千原台高校の選手を京都まで行って応援しており、その経験も重なって一気に作品の世界へ引き込まれました。
そして、いよいよ表題作の「八月の御所グラウンド」です。
「十二月の都大路上下ル(かける)」が「全国高校女子駅伝大会・都大路」がモチーフになっていたのに対して、こちらのモチーフは「野球」です。
京都にある大学の4年生ですが、就職先も決まらず、ついこの間、彼女かもふられたばかりの主人公・朽木(くちき)は、高校の同級生である多聞(たもん)に誘われて、早朝の6時から行われる野球の試合に参加することになります。
その試合が行われる場所が、タイトルにある「御所グラウンド」という設定です。
そして、試合が行われる季節は夏の真っ盛り。八月のお盆を挟んだ時期であり、猛暑の最中です。
私が引き込まれた両作品には、共通する魅力が三つあります。
一つ目は、「スポーツをモチーフとしており、そのスポーツシーンの描写が秀逸」という点です。
ただ、いわゆる「スポ根もの」ではありません。この2作品には「ファンタジー」の要素が含まれています。
これが、二つ目の理由です。
そして、三つ目は「テンポの良い文体」です。
以前にもお話ししたように、今でこそ多くの本を読む私ですが、学生時代は「文学少年」ではなく、本を沢山読むようになったのは、校長になってから。「50代デビュー」の私は、そんなに早く本を読むことは出来ません。
そんな私でも、一気に読み終えることが出来たこの作品の「テンポ」は素晴らしいと感じました。
「日頃、あまり読書はしていない。」
「スポーツ観戦は好きなんだけど…。」
そんな方に、「超オススメ!」の一冊でした。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、あなたにとって素敵な一日になりますように。