YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

感動しました! とある生徒の3分間スピーチ

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日、お話しするのは、昨日の学校での出来事です。

お昼休みのことでした。あるクラスの担任の先生が校長室を訪ねてきました。

「校長先生、ちょっとお願いがあるのですが・・・」

「はい。何でしょう。」

「今日から、うちのクラスで、終礼の時間を使って生徒たちの『3分間スピーチ』をするんですが、今日が初日ということで、お忙しい中だとは思いますが、お時間が許せば、ちょっとだけ顔を出していただけると嬉しいのですが・・・」

「それは、素晴らしいですね。何時に教室にいけばいいですか?」

「3時35分にくらいにお願いします。」

「わかりました。今日は月曜なので、ちょうどその時間帯は『日本語教室』のために清原さんがお見えになる時間ですが、ちょっとだけお待ちいただいて、顔を出します。」

「ありがとうございます。」

以前のブログでお話したのですが、今、千原台高校には外国にルーツを持つ生徒が何人かいます。

その生徒たちへの「日本語教室」を毎週月曜日の4時から実施しています。

その講師をお勤めいただいているのが、元地元放送局のアナウンサーであり、現在も、フリーアナウンサーや大学の非常勤講師としてご活躍中の清原憲一さんです。

私の高校時代のサッカー部の大先輩であることと、このブログを毎日読んでいただいていたことがご縁で、ボランティアで講師をお勤めいただいています。

その清原さんが、3時半に来られることになっていました。

いつも「日本語教室」の少し前に来ていただいて、清原さんと歓談をさせていただいています。その時間は、私にとって「楽しいひととき」なのですが、担任からの要望であり、生徒も待っているということで、5分だけ中座させていただこうと考え、その間は、私のYouTubeをご覧いただこうとパソコンをテレビにつないで準備していました。

3時半になり、清原さんがお見えになりました。

しばし、歓談。

その後、事情を説明したところ、清原さんから、

「俺も一緒に行こうか。」

と思わぬご提案が。

日頃から授業を回る時に、お客様をお連れすることは良くあることですし、そのクラスは、たまたま「日本語教室」に参加している生徒が所属しているクラスでもあります。

「一緒に、行っていただけますか。そうしていただけると嬉しいです。」

ということで、二人で一緒に教室に向かいました。

教室には、学年主任の先生も来ていました。

担任の先生から、

「今日お招きしていたお客様もお揃いですので、さっそく始めましょう。」

最初に、この「3分間スピーチ」を始めることにしたいきさつや目的を担任の先生が説明し、

「では、初日のスピーチに手を挙げてくれたAさん、お願いします。」

担任の先生は、数日前に「3分間スピーチ」を予告し、1日に1人ずつ行うこと、そして、希望日は自分で名簿に書き込むことを事前に生徒たちに指示していました。

そんな中で、初日にスピーチすると手を挙げたのがAさんでした。

Aさんは、たまたま私が以前校長をしていた中学校の出身で、彼のことは中学時代から良く知っていました。

「私は、出産予定日よりずいぶん早く産まれました。その時の体重は1200gだったそうです。・・・(中略)・・・ですから、私の命を助けてくれた病院の皆さん、そして、家族に心から感謝しています。」

「私の将来の夢は、『医療機関』で働くことです。中学時代、部活動で骨折したことがありました。その時にお世話になった理学療法士さんにとても良くしてもらったのがきっかけで、そう思うようになりました。」

「私は、勉強は苦手です。しかし、この夢を実現するためには、勉強が必要です。夢を実現させるためにこれからは、もっともっとしっかりと勉強していきたいと思います。」

日頃とは違う真剣な表情で、自らの生い立ちに始まり、将来の夢に向けての決意を語ったAさんの言葉を真剣な眼差しで聴いていた生徒たち。

3分間のスピーチが終わると同時に、教室中が拍手に包まれました。

中学時代から彼のことを知ってはいましたが、その生い立ちなどは知る由もなく、日頃とは違った一面を見せてくれたAさんのスピーチに私も感動しました。

担任の先生が、

「Aさん、ありがとうございました。自らトップバッターを勤めてくれたAさん。素晴らしいスピーチでしたね。それでは、誰か感想を言ってくれる人はいませんか?」

聴いている生徒たちも感動していることは、伝わってきましたが、私、清原さん、学年主任という3人のゲストの前ということもあり、なかなか生徒の手は挙がりません。

そんな中で、スピーチを終えたAさんが、小さな声で

「校長先生」

とつぶやきました。

とうことで、まずは、私から、中学時代から彼のことを知っているけれど、その生い立ちは全く知らなかったこと、夢を持って努力しようと決意している素晴らしさ、そして、何より自ら手を挙げてトップバッターを務めた勇気に感動したことを話しました。

続いて、清原さんから、

「勉強が苦手と言っていたけどそんなことは気にすることはない。これからの積み重ねで必ず夢は実現する。」

というお話しをいただきました。

最後に学年主任の先生から、

「私は、Aさんが、自分の生い立ちから語り始めたことに感動しました。それを話すのは勇気がいったと思います。そして、もう一つ『このクラスの仲間になら話しても大丈夫』という安心感があったからこそ、話せたのだと思います。その話を真剣に受け止めているクラスの皆さんにも感動しました。今日は、素敵な時間をありがとうございました。」

私もまさに同感です。

本校の教育目標は、「一生懸命はカッコイイを実践する学校づくり ~リーダーシップ、フォロワーシップの育成~」です。

自ら手を挙げて、トップバッターとしてスピーチを行うという「リーダーシップ」を発揮したAさん。

その話を真剣に受け止めるという「フォロワーシップ」を発揮してくれたクラスメイトたち。

私の掲げる教育目標が達せられた貴重な時間でした。

これから、クラスの生徒たちが、さらに大きな感動を届けてくれることが楽しみです。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。