YouTuber校長日記

YouTuber校長として、サッカー解説者として日々の生活の中で感じたことや本を読んで学んだことなどを書きます!

「エコフィード」で地球を救う! 専門高校生徒による研究・実践発表(第3部)

どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。

今日は、土曜日。

ということで、いつもよりも遅めに起床。その後、「朝の散歩」「散髪」「歯医者さんで口腔クリーニング」を午前中に済ませたので、午後のブログ更新となりました。

今日も、熊本県産業教育振興会・産学懇談会の「専門高校生による研究・実践発表」で紹介された内容をお話しします。

今日お話しするのは、熊本県立熊本農業高校の皆さんの「食品廃棄物を利用した持続可能な畜産経営の実践~地域から学び、地域に還元するエコフィードの普及~」です。

今回の産学懇談会で発表された研究・実践は、どの高校のものも本当に素晴らしかったのですが、この熊本農業高校の研究・実践の内容は、まさに「驚愕」でした。

ノーベル賞ものでは!?」

と感じたほどです。

ですので、ぜひ、最後までお付き合いください!

彼らは、研究の動機をこう語りました。

「近年、我が国の畜産経営における飼料自給率は25%と低く、その大半を輸入に頼っています。中でも穀物飼料主体の養豚では14%と特に低く、輸出国の不作や他国の大量買い付けにより4月からの飼料価格は11,000円/tの値上げとなり、飼料価格の上昇が畜産農家の悩みです。

一方、我が国の食品廃棄量は2,800万tにもおよび、深刻な社会問題となっています。

そこで、世界の飼料情勢に左右されず、安定した畜産経営を目指し、食品廃棄物を有効活用したエコフィードの研究に取り組みました。」(発表資料より引用)

なんと、素晴らしい動機でしょうか!

「飼料自給率の低さ」と「食品廃棄物の削減」を同時に達成できれば、これは、「日本の国益」と「世界の環境」の両方に好影響を及ぼします。

そして、今話題の「SDGs」の理念にも合致しています。

彼らが研究したのは、「哺乳期の豚の飼料開発」でした。それは、次のようなステップで進められました。

① 原料の検討

② 嗜好性の検討

当初は、「賞味期限切れの人間用の粉ミルク」と「利用可能な食品廃棄物」を混ぜ合わせて、資料として哺乳期の子豚に与え、成長経過を観察しました。

しかし、これでは、「市販飼料区」の豚に対して「実験区」の豚は、12%の発育不良がみられてしまいました。

そして、この原因は、「実験飼料」の「タンパク質不足」にあることがわかりました。

そこで、彼らが見つけたのが「削り節業者さんが出す食品廃棄物」(カツオの頭や骨)でしした。これをウッドチッパーで細かく砕き、飼料に混ぜました。

さらに、哺乳期の子豚の「嗜好性」を考慮し、賞味期限切れの「菓子類」も入れることにしました。

その結果、哺乳期の子豚たちは、喜んで「実験飼料」を食べるようになり、発育も「市販飼料区」と同等で、170日で目標体重を達成することに成功しました。

飼料費も「市販飼料区」では、1頭当たり23,454円だったのが、「実験区」では762円となり、22,692円の大幅削減を達成することが出来ました。

また、肉質調査の結果、肉の旨味成分である脂肪酸が2~3.5倍多く、ビタミンEが1.5~3倍高いという結果となりました。

ここまででも、驚くべき研究なのですが、彼らのさらにすごいところは、この結果をもとにして、豚を育てる「養豚業者」と食品廃棄物の処分に困っていた「事業所」を結び付けていったことです。

これまで、農林水産省の官僚たちが何度もトライしてうまくいかなかったことを、熊本の高校生たちが見事に成し遂げたのです!

高校生たちが、自らの手で「自足可能な社会づくり」に大きく貢献し、自らの未来を切り開いたこの研究は、本当に絶賛に値すると思います。

千原台高校でも、彼らに負けないように、生徒たちの可能性を引き出していきたいと思決意を新たにしました。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。