どうも。南弘一です。千原台高校の校長をしています。とともに、地元熊本でサッカー解説の仕事もしています。
皆さん、佐藤優さんをご存知ですか?
私は、お名前だけはお見受けしていたのですが、先日、池上彰・佐藤優著「新・戦争論(文藝春秋)」という本を読んで、彼のことを初めて詳しく知りました。
そこで、佐藤優さんという著者に興味を持ち、彼の著書を探して手に取ったのが、今日のブログでお話しする「『ズルさ』のすすめ」です。
というわけで、まずは、佐藤優さんの略歴をご紹介しますね。
佐藤 勝(さとう まさる)
1960年東京生まれ。作家。元外務省主任分析官。85年、同志社大学大学院神学研究科終了。外務省に入省し、在ロシア連邦大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、09年有罪確定。「国家の罠」(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。「自壊する帝国」(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。「人に強くなる極意」’(青春新書)、「いま生きる『資本論』」(新潮社)など著書多数。(本書巻末より引用)
という人物です。
ここにあるように、佐藤さんは、いわゆる「ノンキャリア」として外務省に入省し、「ロシア外交の専門家」として働いていました。そんな彼の人生を一変させたのが、いわゆる「鈴木宗男事件」に絡んだ疑惑による逮捕、有罪確定でした。
「霞が関の官僚→拘置所暮らし」という数奇な人生を経験した彼の知見に私は強く惹かれました。
それでは、本書で学んだことをお話ししますね。
本書を発刊する意図について、著者は次のように述べています。
「本書には、私が企業か役所につとめていたら、ある時は職場の会議室で、別の時には居酒屋で、若い人たちに伝えていたであろう内容を盛り込んだ。いずれも読者がこの面倒な時代を生き抜くために必要な『ズルさ』について触れている。
誤解しないでほしいが、私は読者に狡猾な利己主義者になることをすすめているのではない。会社、役所、学校、世間などでは、適宜「ズルさ」を発揮して、ストレスを極小にする。そして、自分が本当に大切にする家族、友達、恋人とは、『ズルさ』や駆け引きを抜きにした、誠実な関係を持つ。複雑な世の中を生き抜いていくためには、メリハリをつける必要があるということを伝えたいのだ。」(本書「はじめに」より引用)
本書が書かれたのは、2014年です。それからさらに8年の時が過ぎ、「VUCAの時代(予測困難な時代)」と言われるようになった現代では、このことがさらに必要になっているような気がします。
著者は、そのために必要なこととして、次の項目を挙げています。
1 人と比べない
2 問題から目をそむけない
3 頭で考えない
4 時間に追われない
5 酒に飲まれない
6 失言しない
7 約束を破らない
8 恩を仇で返さない
9 嫌われることを恐れない
10 人を見た目で判断しない
11 上下関係を軽んじない
どれも、人が生きていく上で大切なことです。ただ、本書ではその中に著者特有の「ズルさ」のペーストが加えられています。
「第7章 約束を破らない」では、次のように述べています。
「言質をとらせない (中略)
外交の世界では、相手に判断させることでこちらの責任を追及されないようにする言動が非常に多いです。特にロシアは、このような情報の流し方が上手でした。
すべてを話してしまうとそれが約束を破ることになる可能性もあります。軽率にいろいろなことを口にすると、思わぬ失敗をすることがあるのです。」(本書p137より引用)
今、校長という立場で仕事をしている私も「約束を破った」と思われてしまうと大きく信頼を失うことになります。
元来「おしゃべり」の私です。「軽率にいろいろなことを口すると・・・」ということは、しっかりと肝に銘じておきたいと思います。
このように、本書には人生を生きていく上で役に立つことが佐藤さんならでは「視点」でたくさん書かれています。
「VUCAの時代(予測困難な時代)」をこれから生きていく若い世代の皆さんには、特におすすめの一冊です。
もちろん、わたしのような「おじさん世代」にも多くの学びがありました。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今日一日が、皆さんにとって素敵な一日になりますように。